新・企業研究 #03

クリエイティブやコンサルの先へ。レイ・イナモトが描く、これからのクリエイティビティ

前回の記事:
エスワンオーインタラクティブは、なぜ社名をハートラスに変えたのか【高瀬大輔】
 米国サンフランシスコに本社を置くデジタルエージェンシー AKQAでCCO(クリエイティブ最高責任者)として、NIKEやGoogleといったグローバルブランドのクリエイティブ戦略をリードしてきたレイ・イナモト氏。Creativity誌「世界の最も影響力のある50人」、Forbes誌「世界広告業界最もクリエイティブな25人」に選ばれるなど、世界的に注目を集めている。

 そのイナモト氏は2016年に独立し、ニューヨークに「I&CO(当時Inamoto & Co)」を設立。そして今年7月1日に、クリエイティブ集団 PARTYに在籍していた高宮範有氏、元アクセンチュアの間澤崇氏とともに日本オフィス「I&CO Tokyo」を立ち上げた。なぜ日本にも拠点をつくったのか、日本企業のマーケティング課題や昨今のクリエイティブの潮流も含めてイナモト氏、高宮氏、間澤氏の3人に話を聞いた。

日本オフィス立ち上げと、リーダー決定の経緯

 
レイ・イナモト氏(中央)、高宮範有氏(右)、間澤崇氏(左)。

—— I&CO Tokyoを立ち上げた経緯からお聞かせください。

イナモト そもそも、なぜ2015年に「I&CO」を設立したのかから話しますと、これまで多くの企業と仕事をしてきた中で気づいたパターンがありまして。

それは企業が問題解決のためにコンサルティング会社にいき、「何か新しいことをやりたい」と相談すると、だいたい出てくるのは何百ページもあるパワーポイントの資料だけで、それを見ても具体的にどう行動したらいいかが分からないんです。

それで次に、デザインファームに依頼するわけですが、カッコいいコンセプトムービーはできるものの現実味がないケースも多くて。そのうち時間とお金がなくなってクリエイティブエージェンシーに駆け込んで最終的に広告だけをして終わってしまう。

そんな状況をたくさん目の当たりにしてきました。この状況をどうにか改善したいと、思いついたのが「ビジネスインベンション(発明)」というコンセプトです。提案書や広告をつくるだけではなく、新しい事業やサービスを一気通貫で生み出せるファームとして「I&CO」をつくりました。

そこから僕が日本人ということもあって、ユニクロをはじめ多くの日本企業から連絡をもらって、この2、3年で色々な取り組みをさせてもらいました。日本に拠点があれば、もっと幅広くお手伝いができると思って、今回オフィスを立ち上げたのです。

これは1年以上前から考えていたことですが、最終的には高宮と間澤という2人のメンバーが揃ったことが決め手でした。間澤はコンサルティング、高宮はクリエイティブというバックグラウンドを持っているため、この2人をくっつけることで良いチームになると思ったんです。



—— 二人と出会えたことが大きかった、と。

イナモト はい。高宮とは、3年以上前から一緒に仕事をしてきました。間澤は、2年ぐらい前に僕のことも知らずに、日本オフィスをつくらないかって会社のホームページに問い合わせしてきたんです。そこから数カ月に一度話をするようになって、高宮と一緒に組ませたいなと思いました。

僕もビジネスパートナーであるレム(I&CO 共同創業者 レム・レイノルズ氏/元AKQAマネージング・ディレクター)と組むことでうまくいった面もあって、二人三脚のチームはすごく強いと思っていたんです。

アップルもスティーブ・ジョブズというマーケターと、スティーヴ・ウォズニアックというエンジニアのタッグでしたよね。3人でチームを組むと意見が割れたときに、誰かがひとりになってしまうじゃないですか。会社をつくるのも、ある意味で家族をつくるようなものなので、夫婦みたいな形態が個人的にもしっくりくるんです。

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