マーケティングの現場から考える「5年後の実際」 #05

【提言】 次世代マーケターに求められる5つのスキル

⑤ 機械へのお膳立てスキル

 最後は各論だ。具体的にどのような武器を手に取るべきか? 価値ある努力とは何か?

 前回の記事で語った、優秀な店舗スタッフの「AI化」が頓挫した理由。それは機械への理解とお膳立てが足りていなかったからだ。

 機械にとってやり易いように、人間がお膳立てするスキルが重要になるということ。こう思ったきっかけがもう一つある。以前、私も登壇したダイレクトアジェンダというカンファレンスでスタートアップのピッチイベントがあり、ニューロープという会社が最優秀を受賞した。

 ファッションに特化したAIサービスを展開していて、モデルやインスタグラマーの着用アイテムの類似商品を買うことができる。この「類似商品を買える」を実現するために、2014年から大量のコーディネートのスナップを人の手でタグ付けしてきたとのこと。

 AIがサービスに溶け込んているという次世代的なプロダクト構造でありながら、タグ付けという労働集約な作業をバックエンドに組み合わせることでAIに価値を発揮させている。それが、他社には簡単に真似されない優位性の高い付加価値を産み出していた。

 AIは魔法の杖ではない。AIでサービスのビジョンを具現化するためには、ニューロープのように泥臭い作業を避けては通れない。

 第一次CRMブームの失敗、その一因は、入力の手間を惜しんだからだ。もしかしたら、来たるAI時代でも「機械へのお膳立て」の作業を惜しんだ失敗事例が大量に発生するかもしれない。

 タグ付けの例は、「AIが食べられない状態の食材を持っていても意味がない。」ということを教えてくれる。
 
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マーケターとして真に価値ある努力をするために

 ここまで述べたスキルを大雑把に言うと、「未来の変化にアジャスト」するために、マーケターの時間の使い方を根本から見直す必要性を指摘している。
 
・フレームワークのマス目を埋める時間を、新たな在り方を見出す時間へ。
・社会インパクトドリブンに思索する時間へ。
・マーケティングの脚本を書き下ろし、細部までプロデュースする時間へ。
・市場へのとりわけ深い造詣を得る時間へ。
・機械への理解とお膳立てを愚直に実行する時間へ

 次世代を牽引するマーケターが新たな地平を開くために、ほんの少しでも参考になれば幸いだ。次回はこれまでのテーマの最終回として、まとめの内容になる。この連載に込めた思いを明かす。
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