デジマ女子部 スキルアップしたい女子デジタルマーケター大集合! #04
月に2000万人が訪れる「note」の企業活用法【デジマ女子部】
2019/12/06
デジタルマーケティングに携わる女性マーケターの勉強と交流の場「デジマ女子部」。2カ月に1回、顧問を務めるマーケターの西井敏恭氏(シンクロ 代表取締役、オイシックス・ラ・大地 執行役員)が、ゲストに招いた女性マーケターと対談するセミナーを開いている。今回のテーマは「noteではじめるコンテンツマーケティング」。メディアプラットフォーム「note(ノート)」を運営するピースオブケイクの広報を務める森本愛氏にnoteのコンセプトや活用方法、後半にはフリーライターのマチコマキ氏に文章を書くことが苦手な人向けのライティング方法を聞いた。
後発のnoteが利用者が拡大し続けられる理由
メディアプラットフォーム「note(ノート)」は、誰もが簡単に文章やマンガ、写真、音声などのコンテンツを投稿できるWebサービス。登録は無料で2014年4月のリリースから約5年で登録者数は150万人。会員登録をせずにコンテンツを閲覧している人も含め、月間アクティブユーザー数は2000万人に達する。
今回、noteをテーマに選んだ理由について、西井氏は「今はnoteで情報を発信している企業が多い。BtoBやBtoCの企業に関係なく活用のチャンスがあると思っている」と話す。
実際、会場でアンケートを取ったところ、大多数がnoteの成長理由や書き方よりも、企業のコンテンツマーケティングとしての利用方法に興味があると答えた。
noteがリリースされたのは、サービス特性が類似するWebブログの盛り上がりが一通り落ち着いたあとだが、後発にもかかわらず、成長を続けているのはなぜか。森本氏は、その理由について、ピースオブケイクのミッション「だれもが創作をはじめ、続けられるようにする。」にあると語る。
「noteは、クリエイターの支援を大事にしています。インターネットの台頭で一般の人にも創作を始める機会が増えましたが、炎上してしまったり、せっかく発信しても誰にも見てもらえなかったり、創作を続けるのはすごく難しい。そうした中で創作を続けられるよう、コンテンツづくりが報われるような環境整備に力を入れているんです」(森本氏)。
その一環として、出版社やテレビ局、ラジオ局とメディアパートナーとして提携し、おもしろい書き手や話題になったコンテンツを紹介してもらう取り組みをしている。最近では、バリアフリーのコンサルティングを行うミライロの岸田奈美さんがnoteをきっかけに知名度が上がり、さまざまなメディアでの連載をはじめ、キャリアの幅が広がっている。
また、企業協賛のコンテストも開催。入賞者には賞品が贈呈されるほか、企業の公式SNSアカウントによる記事紹介なども行っている。キリンビールが「#社会人1年目の私へ」というテーマで文章を募集した企画では、3000件以上の投稿があった。若者のビール離れが囁かれるなか、noteユーザーのボリュームゾーンである25~34歳を中心に直接コミュニケーションをとり、ブランドのコミュニティを形成する場所として活用しているという。
企業のnote活用法、好まれる記事の傾向
2019年3月からは、法人向け有料サービス「note pro」を開始。現在は有料・無料あわせて約500社がnoteを利用している。法人向けnote proでは、ロゴの変更、メニューバーのカスタマイズ、独自ドメインの設定などができる。
森本氏は、noteで企業ページを開設する利点について「構築にあたってエンジニアやデザイナーに依頼する必要がなく、運用までにかかる期間は約1週間程度と早い。また、一般的なブログ制作ツールによるオウンドメディアはインターネット上の離れ小島のようなイメージですが、noteであれば月間2000万人が通う商店街にお店を出した形なので、集客にも有利です」と話す。
実際、法人利用している企業は、ブランディングやリクルーティング、販促などが目的だという。例えば、家計簿アプリを提供するZaimは、採用向けの記事を掲載し、Wantedlyと連携することで求人応募数の増加を狙っている。
noteで好まれる記事の傾向については、「企業のかしこまった文章は、あまり反応がよくありません。働いている人たちはこんな感じ、あの商品のウラ側ってじつはね…というように、自己開示をするようなコンテンツが好まれる」という。
森本氏の一連の話を聞いて、西井氏は「記事に広告を入れれば、すぐにマネタイズできるが、その一方で儲けるために炎上をねらった記事が目立つ状態になってしまう。そうならないようにうまく制御されているため、マネタイズの難易度は上がるが、その分すごく本質的なことに取り組んでいると思いました」と述べた。