デジマ女子部 スキルアップしたい女子デジタルマーケター大集合! #05
JTBが教える、データ分析から「One to Oneコミュニケーション」を実現する手法 【デジマ女子部】
2020/03/26
デジタルマーケティングに携わる女性マーケターの勉強と交流の場「デジマ女子部」。2カ月に1回、顧問を務めるマーケターの西井敏恭氏(シンクロ 代表取締役、オイシックス・ラ・大地 執行役員)がゲストの女性マーケターと対談するセミナーを開いている。
今回のテーマは、「JTB Web販売部から学ぶOne to Oneコミュニケーションを実現する顧客分析」。チームリーダーが全員女性だというJTB Web販売部のデータサイエンスセントラルのメンバーをゲストに招き、One to Oneコミュニケーションにつながるデータ分析の手法に迫った。
今回のテーマは、「JTB Web販売部から学ぶOne to Oneコミュニケーションを実現する顧客分析」。チームリーダーが全員女性だというJTB Web販売部のデータサイエンスセントラルのメンバーをゲストに招き、One to Oneコミュニケーションにつながるデータ分析の手法に迫った。
One to Oneコミュニケーションを実現する質的分析
第16回目を迎えるデジマ女子部、今回のテーマは「顧客分析」。パネラーとして迎えたのはJTBのWeb戦略を担うWeb販売部で、顧客の統合データをもとに顧客分析とマーケティングアクションを行うデータサイエンスセントラルの面々だ。
冒頭で西井氏は、「前回のデジマ女子部でJTBのデータサイエンスセントラル内の各チームのリーダーが全員女性だと聞いて、ぜひ話を聞きたいと思いました」と紹介し、女性マーケターが率いる組織ならではの話に期待を寄せた。
セミナーには、データサイエンスセントラルで副統括を務める山上亜紀氏と、SEO/SNSチームリーダーの谷口浩子氏が登壇した。山上氏はJTBに新卒で入社後、営業や添乗員の仕事を経験し、2000年頃からオンラインビジネスに携わってきた。
一方の谷口氏は新卒でJTBに入社し、Web領域で営業やメールマガジン、CRMなどを担当。その途中で人事部門での経験も積み、データサイエンスセントラルが立ち上がったタイミングでSEOの専任担当に着任した。
JTBのデータサイエンスセントラルはデータ分析から顧客構造を明らかにし、マーケティングアクションにつなげていく「データドリブンの実現」を目的に2年前に立ち上がった組織。
その特徴として、顧客分析を「量的分析」と「質的分析」の2つに分け、それに合わせて組織も分けている点がある。「量的分析」は、統計解析の手法で数値を分析し、コンバージョンに至る確率を上げていくことが目的。一方で「質的分析」は、顧客をコンテキストによって分類し、One to Oneのコミュニケーション設計を目指したもの。今回は、特に質的分析の考え方について聞いた。
では、具体的にどうやって質的分析を行っていくのか。実例として「出張広告」におけるコミュニケーション改善例が紹介された。
JTBのビジネスにおいて、出張利用が大きなボリュームを占めている。これまでも出張ニーズのある人たちに向けたコミュニケーションを展開してきたが、その多くが男性に向けたものだった。しかし、女性の出張も少なくないことが分かり、女性の利用促進のためのアプローチのヒントを質的分析から導き出した。
「女性が出張でどういう施設に宿泊しているのかを分析したところ、購買単価が男性よりも10%程度高いことが分かりました。なぜなのかと思い、その背景を掘り下げると、会社の支給額に自費で少々上乗せしてでも、女性専用フロアがあったり、質の良い寝具を使っていたり、こだわりの条件を追加して購買していることが見えてきたんです。そこで、広告を出張女性の考えに寄り添ったクリエイティブに変えたところ、コンバージョンが上がりました」(山上氏)。
JTBでは、こうした顧客のニーズをコンテキスト(文脈)と呼び、300ほど見つけることを目標としている。「現在、すでに250ほど見つかっています。300という数字は目安ですが、これらを積み重ねて最終的な顧客像と購買行動を明らかにしたいと考えています」(山上氏)
これらの質的分析の手法は、「消費行動に敏感な女性自身がやった方が、より良いものができる」と谷口氏。また、女性の方がちょっとした異変や違和感をキャッチしやすく、それがPDCAの「Plan(計画)」を立てるきっかけになることが多いという。
その話を受けて、西井氏は「男性として思い当たる節があるので、ちょっと心が痛いですね」と、苦笑しながらも同意した。