Adobe Summit 2020 レポート #02Sponsored
2020年以降のビジネスに影響を与える、6つのマーケティングトレンド【奥谷孝司 Adobe Summit解説】
2. 統合データの重要性
ここからが従来用意されていた本来であれば、5つのうちのひとつ目の内容になるが、データ統合の重要性に言及している。これは前編でも言及したことであり、企業の部⾨ごとの壁(サイロ)を崩し、顧客の包括的理解を推進していくことが求められているという。CDP(Customer Data Platform)の構築が最優先事項であり、ここからシングルビューによる顧客理解を進めていかねばならない。
そして前編でも指摘したプライバシー対策、統一IDの準備を進めなければいけないということだろう。顧客体験の構築に不可欠なデータプラットフォームの準備をみなさんはどの程度進めているであろうか?改めて自社の状況を確認してもらいたい。
3.AIの重要性が増す
お客さまにパーソナライズ化された興味関心のある情報を提供するためにはDAM(Digital Asset Management)が重要であることは前回言及した通りだが、今後ますます増加するデジタルを活用したコミュニケーションにおいてAIを活用することが重要になると彼らは指摘する。
すでにAdobe Experience Platformにおいては、広告効果の最適化を行うAttribution AI、顧客理解を深めるCustomer AIの活用が可能となっている。今後は、よりコンバージョンに寄与するコンテンツ、購買の最適化を行うContent & Commerce AI、B to B営業の最適化を行うLeads AIの導入が予定されている。
昨年のサミットで出てきたキーワードであるContent Velocityの実現には、DAMに加えてAIを活用したコンテンツ運用が不可欠になってくるだろう。これは企業ごと、お客さまごとにチューニングも必要であり、経験値を積んでいく必要もある蓄積が重要になる領域だ。
デジタル時代の顧客経験づくりにおいてAIと企業人は対立項にあるのではなく、共創軸の上にある。効率化と最適化を共に目指すことが近い将来できるであろう。だからこそ、今から少しずつ知見を増やしていきたい領域であり、今後の進展に注目が集まっていると言える。
4.企業はデジタル成熟度曲線を上り始めなくていけない
ここは日本企業が完全に米国企業に比べて遅れている点と言える。お客さまの買物行動においてデジタル活用は当たり前であり、コロナ禍によってそれは強制的に加速している。しかし、まだこの領域に対する投資、組織づくり、人材採用や育成と最適化が追いついていない企業が多い。
このセッションでは、組織のデジタルトランスフォーメーションの最適化が進むことで、企業が享受するメリットは最大化できるという。前回の連載でも言及したが、やはりDXを経営の中心におき、その実践を進めなくてはいけない。そして、DXに対してリスク回避型の企業にはデメリットしか今後は生まれないと警笛を鳴らしている。
コロナ禍において、デジタル化が遅れている企業ほど苦境に立たされている現実からも明らかなように、デジタル文化をこれからいち早く根付かせる取り組みが必要なのだ。