業界人間ベム #特別寄稿 #03
テレビCMは、ミドルファネルを担えるのか?【業界人間ベム 特別寄稿】
テレビとデジタルの3つの組み合わせ方
前回はテレビCMの到達実態をGRPという率の足し上げではなく、到達人数やインプレッション数(表示回数)という絶対値で明らかにする取り組みを紹介しました。これによって、デジタル広告とテレビCMを比較しやすくなると思います。
短期間に大量のインプレッションを到達させるテレビCMのパワーは、まだまだデジタル動画広告を圧倒しています。しかし、視聴層に偏りがあり、フリークエンシー分布も「過小フリークエンシー」と「フリークエンシー過多」に二極化してしまいます。そこで、上手にデジタルで補完したり、テレビ×デジタルの相乗効果を志向したりする時代になっています。すでに「テレビにだけ投下すればいい」というブランドは極少数でしょう。
では、テレビとデジタルの組み合わせには、どんな目的があるでしょうか。次は、ベムが3つのパターンに分けたものです。
まず、若年層に到達しづらいテレビをデジタルが補完するモデルです。ターゲットリーチ補完です。これは分かりやすいですね。
2番目は少々難しいのですが、テレビだけだとフリークエンシーのバランスが悪いので、デジタル動画も使うことでそれを補正するというモデルです。前回紹介したようにテレビCMでは過小フリークエンシーとフリークエンシー過多に二極化します。そこで、デジタルでターゲティング配信することで、接触者をできるだけ適切なフリークエンシーに寄せていきます。その結果、認知効率を上げる効果が期待できます。
3番目が最も面白く、期待値の高い効果です。デジタル動画とテレビCMの両方に接触すると、片方だけ接触するよりも購入意向が上がることが調査で分かっています。両方に接触するので認知率も上がるのですが、それよりも購入意向率の方が数段上がるという結果が報告されています。ぜひ、広告主が自社のブランドで確認してみることをおすすめします。そして、この事例ではテレビCMと同じ素材を使っての結果ですが、テレビとデジタルでクリエイティブを変え、最適な組み合わせを模索することで、もっと伸び代があるはずです。
このようにテレビとデジタルの相乗効果を考えると、今後は従来のテレビCMからクリエイティブをつくるよりも、デジタル側からつくっていくプロセスのほうが支配的になるかもしれません。