業界人間ベム #特別寄稿 #04

テレビ局が生き残るために、ベムからの7つの提言【最終回】

 

外部からの劇薬的刺激と人財の入れ替えが必須


 ①    強力なプロCDO(最高デジタル責任者)を招聘して、データで視聴層セグメントとコンテンツ開発ができる人財に入れ替える。

 まず①ですが、文化の違う人財はどうしても必要です。ウォルマートもマーク・ローリーというJet.comの創業者を会社ごと約3000億円で買って、デジタル化を進めました。彼は既にウォルマートを去りましたが、デジタル化は劇的に進みました。彼は役割を果たしたと言えるでしょう。

 番組づくりは、もっと「科学する」必要があります。アウトプットはクリエイティブなものでも、データを用いてクリエイティブを発揮するベースや方向性を定義しておかないといけません。すべてを経験と感覚値でつくる時代ではありません(送り手主導ですべてできるというのは思い上がりです)。

 もちろん視聴者反応のみでつくるのでは「追認」するだけで、新しい価値の提供にはなりませんが、新たなアイディアを産むためにも、データによるサイエンスが必要です。「アートとサイエンスの融合」こそがすべてのクリエイティブな作業の前提となるでしょう。そういう企業文化を根付かせるには、外部からの劇薬的刺激と一定以上の人財の入れ替えが必須です。

 ②    放送でのCM枠(特にステーションブレイク※番組と番組の間の枠)を減らす。

 ②は、ここで云っている「質」を上げる、「価値」を上げることの一環として、在庫を減らすこと、そして注目率が高い番組内に枠のポジションを集めることです。ステーションブレイク枠は60秒の長尺の見応えのあるCM枠にするのがいいでしょう。CMも含めて視聴者に良いコンテンツを提供するという考え方が必要です。



 ③    SAS(スマート アド セールス)を普及させ、同時配信枠にも拡張する。

 ③は前回、詳しく説明しました。「手売り」から広告主もアクセスできる「オンラインプランニング&バイイングシステム」へ、また売り方も1本1本の価値を上げるデータオリエンテッドなシステムへシフトすべきです。

 ④    番組ネイティブCMを自社制作する機能を格段に向上させる。

 ④は、より効果のあるCM制作をテレビ局が広告主や代理店と一緒になって積極的に取り組むべきということです。何といっても「クリエイティブ」が広告効果を左右する最大の変数です。CMはすべて広告代理店にお任せではなく、番組連動のCM制作をもっと丁寧にしっかりつくるべきです。費用対効果でデジタルを上回るすべての努力がなければ、デジタル勢に押し切られるのは目に見えています。

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