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サントリーが進めるデジタル人材育成講座 #04

デジタル部門以外への「デジタル研修」に価値がある【サントリー 室元 隆志】

ブランド部門とビジネス部門の人材育成とは

 次に着手したのが、ブランド部門のデジタル人材育成。こちらは、従来のマスマーケティング一辺倒の考え方を、いかにデジタルシフトしていくのか、から説いていくプログラムとなった。

 第2回で述べたような「なぜ考え方のデジタルシフトをしなければならないのか」から始まり、これまでの「確率論」のマーケティングから、重要なユーザーを見極めて、デジタルでピンポイントに成果を上げていくにはどう考えればいいのかを学んでもらい、それを参加者自身のブランドマーケティングにどのように応用していくのかを実践していく、ほぼ1年がかりのトレーニングを実施している。

 ブランドマーケティングにおいて、実際の「成果」を出す、ということにコミットしている研修だけに、研修を組み立てる側も参加者側も負担は大きい。だが、取り組んでみてわかったことであるが、「教える側」のデジタル専門部署のマネジャーやメンバーにも大きな気づきがあったのだ。

 
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 今まで、ともすればうまくいかなかったデジタル施策は、何が原因だったのか、どこでブランドマネジャー側がつまずいていたのかがよく理解できたし、また、ブランドマネジャー側に基本的なデジタルの思考回路ができたことで、仕事が進めやすくなったという声を多くの自部署のメンバーから聞くことができた。これもある意味、前述した「デジタル人材育成のエコサイクル」の一環になったのだ。

 最後に残った、ビジネス部門のデジタル人材の育成。当社の場合、ビジネス部門とは外食グループ会社などの事業会社を指しているのだが、個別企業の事情が大きく異なることもあって、まだ汎用的なプログラムがつくれていない。これからの課題だ。

 一方、営業デジタル人材育成については、その効果が認められ、この夏から海外のグループ会社にも範囲を拡大することになった。まだまだ中身の設計も困難は伴っているのだが、今後の成果が楽しみだ。

 さて次回は、デジタル人材育成の手始めとして行う、基本思想のインストール「デジタルマーケティングの基本フレームワーク」を言及しようと思う。
続きの記事:
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