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サントリーが進めるデジタル人材育成講座 #05

サントリーが社員に教えている「デジタルマーケティング」の3つの基本フレームワーク

前回の記事:
デジタル部門以外への「デジタル研修」に価値がある【サントリー 室元 隆志】

「なぜデジタルマーケティングに取り組むのか」という問い

 前回まで、デジタル部門や他部門の「人材育成の考え方」に焦点を当てて話をしてきた。今回は、部門を問わず「デジタル人材」を育成する際に、最初に取り組むことについて触れたいと思う。

 他部門からデジタル部門への社内異動や、他部門で初めてデジタルを使った業務に就いて、何かを始めなくてはならない人向けに、我々は「デジタルマーケティング基礎講座」的なパッケージを提供している。

 デジタルマーケティングと言うと、さまざまなメディア、ツール、ビジネスモデルが次々と現れては消え、よく理解していない人にとっては、いったい何から手をつけていいのか分からないというのが実情だと思う。

 そもそも経営層も「デジタル」と言って、思い浮かべているものが、マーケティングスキームであったり、ソーシャルメディアであったり、広告費のアロケーションのことであったり、ECで売上を上げることだと思っていたり・・・バラバラである。
 
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 そういう環境下で、まず取り組むべきことは「なぜ我々はデジタルマーケティングに取り組むのか?」という根本的な問いを考えてもらいながら解説することと、その目的を理解した上で「何をすれば、デジタルで勝てるのか?」という基本的なフレームワークをインストールすることだ。

 当社で、最初にデジタルマーケティングについて教えるときには、3つのことだけにフォーカスしている。
  1.     ゴール
  2.     ユーザー
  3.     シナリオ
 この3つだけだ。

 「ゴール」とは文字通り、デジタルマーケティングの施策において、何をゴールとするのかを明確に定義することだ。「当たり前すぎて、何を今さら」と思われるのだが、実際は、ここが曖昧なことが多い。

 ブランドプロモーションや販促企画の目的とゴールは何かが「売上を上げるため」や「ブランドのファンを増やす」といった“超”大きな塊では、デジタルは絶対に機能しない。

 しかし、持ち込まれる相談には、この手の“ざっくりしたゴール”がほとんどだ。今まで、精緻な効果測定ができなかった時代は、それでよかったかもしれないが、以前の回で言及したように、デジタルではマスメディアのような、そこまで大きなリーチや影響力がとりにくいこともあり、「デジタルマーケティング施策で、何を達成するのか」を明確にしておかないと、効果測定もそれを活用した高速PDCAも回すことができない。
 

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