デジタルマーケティングで市場拡大を目指す #05
cookieベースのターゲティングができなくなる状況は、マーケターにとってのチャンス【ユーキャン 鳥羽 渉】
2018/11/12
「Web広告」が抱える課題
ユーキャンの鳥羽渉です。現場マーケターがデジタルマーケティングの課題について考える連載5回目のテーマは、シンプルに「Web広告」です。当社のようなリアル店舗を持たないダイレクトマーケティングを行う企業では、広告が重要です。ことにお客さまに常時、接触可能なWeb広告は一年を通しての売上・利益を確保するために必要な存在です。
Web広告は単純な出稿から、検索行動に関連した広告を出稿する検索連動広告(リスティング)や、cookieデータを活用したリターゲティング広告など、テレビCMや雑誌などの他媒体にはない特性を持った商品が多数あり、その技術は年々進化しています。
しかし、その一方で、近年はアドフラウドやGDPR(一般データ保護規制)、ITP(Safari搭載のサイトトラッキング抑止機能)など、Web広告を取り巻く問題が顕在化しています。
アドフラウドは、このアジェンダノートでも取り上げられており、様々な解説がありますので、私が細かく説明する必要はないかと思いますが、GDPRやITPの問題は、これまで行われていたcookieベースでのターゲティングが効きにくくなることを意味します。
ピンチがチャンスに?Web広告への対し方
現在でもWebサイト内外の行動など、ブラウザベースで把握できる動きをcookieに記録し、その記録を元にターゲティングを行い、サイト誘導から獲得につなげる施策が盛んに行われています。特に来訪したログをベースにしたリターゲティングは獲得に大きく寄与しますので、その手法が使えなくなることは問題です。しかし、よくよく考えると、この状況はマーケターにとって大きなチャンスと言えるかもしれません。
サイトに来訪し気になっている商品ページを見た人に、サイト離脱後に当該商品のレコメンド広告を配信する手法は大きな成果をあげていましたが、若干の上乗せ効果はあるにせよ「該当広告を見なくてもCV(コンバージョン)したのではないか」問題があり、投資対効果が過大評価されている可能性があります。
また、CVしたユーザーの行動やサイト外での行動を元にクラスタ化した属性を組み合わせて顧客像をつくり上げ、それと類似したオーディエンスに対して広告を配信するオーディエンス拡張も当社商材ではあまり効いた試しがありません。競合が多い日用品や、住宅、車など購買サイクルが長い商品は別だとは思いますが、嗜好品や情報商材は細かいクラスタよりもシチュエーションやモーメントなどの方が購買機会につながるのかもしれません。
そういった意味で、当面のWeb広告の問題は、行き過ぎたテクノロジーの意味を考え直し、新たな施策につなげる良い機会になるのではないでしょうか。