データ・ドリブン・マーケティングの実践に向けて #02

KPIを効果的に設定するための「3つのポイント」 【電通 西田悟史】

前回の記事:
2つのPDCAサイクルを回すことで、広告予算の最適化が近づく【電通 西田悟史】

KPIとKGIの違いを正確に認識していますか?

 前回は、「① Large PDCA」「 ② Small PDCA」という2つのPDCAについて紹介しました。今回は、2つのPDCAを継続的に回していくためには、「KPI」をどのように設定すべきかについて3つのポイントを紹介します。
 

【KPIとKGIの違い】


 「KPI」はマーケティングにおいてよく耳にする言葉で、「Key Performance Indicator(重要業績評価指標)」の略称です。一方で「KGI」は、「Key Goal Indicator(業績目標達成指標)」の略称です。

 「KGI」の設定は、事業目標の設定にほかなりません。例えば、「売上を1.5倍にする」といった目標を設定したとします。「KPI」の設定は、「KGI」を達成するため(今回の例では売上1.5倍)に具体的に何をしなければならないのかを設定することになります。

 新発売された消費財の場合は「認知率を○○%まで高める」、多くの競合商品と拮抗している市場では「純粋想起率を○○%まで高める」、自社商品の差別化ポイントが明確な場合は「商品理解率を○○%まで高める」、自社サイトにおけるアクションが重要な場合は「資料請求数を○倍にする」などのKPIの設定が考えられます。
 

【KPI設定のポイント①:「Sub KPI(各施策レベル)」までブレイクダウンする】


 「KPI」を設定する際、各施策レベルまで目標(及びそれを評価する指標)をブレイクダウンすることが重要です。

 例えば、仮にテレビCMとデジタル広告を通じて「資料請求数を○倍にする」と設定した場合、事後検証の際に目標を達成できた(あるいは達成できなかった)理由が、テレビCMが原因なのか、デジタル広告が原因なのか、明確に判断することが難しくなってしまいます。

 そこで、広告キャンペーンの目的として「資料請求数を○倍にする」というKPIの設定を行い、そのために、「純粋想起率を○%まで高める」「自然検索数を○%まで高める」ためにテレビCMを活用し、「サイト訪問数を○件増加させる」ためにディスプレイ広告を活用するといったようにブレイクダウンを行います。

 「KPI」との違いを分かりやすくするために、施策ごとに設定する指標を「Sub KPI(Sub Key Performance Indicator)」と定義します。「KGI」「KPI」「Sub KPI」を整理すると以下の図のようなイメージになります。

 

【KPI設定のポイント②:KGIとの相関が高い指標を選択する】


 「KPI」「Sub KPI」に用いる指標は、データ分析を通じて選定します。用いるデータはLarge PDCAで定期的に実施しているアンケート調査データや、Small PDCAで継続的にトラッキングをしているデジタル関連データなどを用います。

 先述の通り、「KPI」「Sub KPI」は「KGI」を達成するために具体的に何をしなければならないのかに基づいて設定します。仮に「KGI」として「売上を1.5倍にする」と設定した場合、「KGI」である「売上」との相関が高い指標(すなわち「KPI」に設定した指標のスコアを上げると、「KGI」である「売上」が上昇するという関係性が見られる指標)を選択することになります。

 データ分析には、共分散構造分析やベイジアンネットワークなどの統計的手法を用います。最近は、機械学習を自動化するソリューションを用いるケースも増えてきました。これらの手法を用いることで、多種多様な指標の中から「KGI」に設定した指標との因果関係を可視化し、「KPI」「Sub KPI」の候補となる指標を選定できます。



 

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