行動経済学で理解するマーケティング最新事情 #05

「マスゴミ」という蔑称まで浸透。なぜ人はメディアの報道に偏りを感じるのか

前回の記事:
行動経済学とマーケティングの知識を駆使して、消費者の「好き」という感情を分解してみた
 

「マスゴミ」なんて言葉が使われて久しくなった


 「マスゴミ」とは、テレビや新聞・雑誌などを中心とするマスコミを批判的に表現する際に用いる蔑称で、ネットスラングの一種です。マスコミとゴミの混成語で、つまり、ゴミ同然と侮蔑しているのです。

 特に、特定の新聞社やテレビ局(番組)が定期的に槍玉に上げられています。SNS上では、2週間に1回は「マスゴミ」ネタで炎上しているのではないでしょうか。

 そして、最近では「マスゴミ」なんて言わない人からも、「いかがなものか」と批判されているのが、メディアの今までにない傾向であると筆者は考えています。マイルドなメディア批判が市民権を得たと言っていいでしょうか。メディアは、どんな批判をしても良い対象として認知されたとも言えます。



 その最たる例として挙げられるのは、「メディアは偏っている」「マスコミには報道しない自由がある」といった偏向報道批判です。米国では大統領がSNSを駆使して率先して、マスメディアの報道をフェイクニュースと連呼しています。日本でも個別具体的な事例への言及は避けますが、政治や社会ニュースで偏向報道という批判が巻き起こりました。

 私が報道ベンチャーでもあるJX通信社に入社して一番驚いたのは、「偏向報道をやめろ」といったメールや電話が定期的に来ることです。アルゴリズムで記事を配信するニュースキュレーションアプリであっても「記事のチョイスに恣意性を感じる」という理由で批判されます。その発想はなかったな、と驚きました。

 そもそも、なぜ人は「メディアは偏っている」と感じるのでしょうか。そして、その心がどんどん進化すると、何が起こるかについて考えてみました。

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