日本の広告最新事例を世界の潮流から読み解く #14

アクエリアスの「感動CM」から考える、商品はどのくらい露出させるか問題

前回の記事:
東京都の「外出自粛」投稿、背景の広告が話題に。応援者として振る舞った明治R-1の秀逸企画
 私は長年、多くの広告コミュニケーションの海外事例を紹介、その分析に努めているのですが、この連載では、いつもとはある意味では逆に、まず日本の話題作に目を向けて解説し、そのうえで、その意図や施策の在り方が、海外のどんな潮流と関連しているのかについて考えていこうと思います。今回は、その第14回です。
 

アクエリアスの感動CM。30秒と120秒の大きな違い


 感動CMとして名高いのが、アクエリアスの2019秋冬のCMだ。「スポーツする子にアクエリアス」をテーマに、スポーツに励む息子・娘を陰ながら支える母や父の愛情を描いた広告表現になっている。

 『見えない「がんばれ」少年野球』篇、『見えない「がんばれ」サッカー部』篇、『見えない「がんばれ」バレー部』篇の3バージョンあり、音楽はthe pillowsの往年の名曲「Funny Bunny」をイマドキの女性シンガーUruがカバー。Uruは、聞く人を包み込むような歌声と神秘的な存在感で注目を集めているという。

 「Funny Bunny」の“君の夢が かなうのは 誰かのおかげじゃ ないぜ 風の 強い日を 選んで 走って来た”という歌詞が、企画内容と完璧にマッチして心を打ち震わせる。筆者も大好きなCMだ。

 参考:3本の広告表現や背景、歌などについては、こちらのプレスリリースから確認できる。

 今もFacebookコカ・コーラページで見られる『見えない「がんばれ」サッカー部編』30秒などは、完璧な出来栄えだ。ただ、ひとつだけ気になることがある。契約の関係か今はもうホームページなどでは見られないのだが、“3組の親子を描いたフルバージョン”とされる120秒版における“商品の出”の行き過ぎた多さだ。
 
30秒の広告表現は、Facebookのコカ・コーラ公式ページで視聴可能。

 個人のSNS上では、今もこの120秒バージョンも見ることが出来るので、今回再度確認してみた。筆者の感覚では、明らかに“商品が出過ぎ”で、せっかくの感動CMの感動を阻害している。

 3秒~8秒「ペットボトルから水筒に商品を入れるお母さん」、39秒~41秒「商品らしきものを街中の階段で運ぶお母さん→冷蔵庫に商品を入れるお父さん」、51秒~52秒「冷蔵庫から商品を取り出すアップ」、55秒辺り「娘に商品を渡す父」、60秒~66秒「試合会場で商品を飲もうとする娘→商品のアップ→商品を持つ娘」、92秒「車のトランクから商品らしきものを取り出す母親」、93秒「商品の粉末を容器に入れる母親」、101秒「勝ったよ!のメッセージを商品と一緒に」、106秒「商品の粉末を容器に入れるシーン」となっている。

 以前に書いたこちらの記事でも指摘したが、一般に広告表現には、ブランディング目的のものとプロモーション目的のものがあって、その2つは基本的には“峻別”されるべきなのだ。

 この感動CMは、どう考えても明らかにブランディング目的で、そこに“やたらと商品を出す”ようなプロモーション目的っぽい要素は、あまり入れるべきではないと思われるのだが…。とは言っても、「商品をいつどの程度出せば良いのか?問題」については、日々悩まれている方も少なくないのではないだろうか。

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