音部で「壁打ち」 – あなたの質問に答えます。 #30
P&G人事リーダーからの「面接担当者向け」3つのアドバイス【音部で壁打ち】
P&G人事リーダーからのアドバイス
【質問】
音部さんがマーケティング責任者を務めていた時、採用面接で何を確認していましたか? そして、どういう人材であれば、採用していましたか?
前回に続き、面接で聞いていた質問のお話です。前回は、「志望動機」からニーズを理解したり、解釈したりする“マーケティングの素養”を、「自己PR」からベネフィットを訴求する“ブランディングの素養”を確認しました。
今回は、前編で面接担当者として大事なことを紹介し、後編で「施策の立案に関する質問」と「バイアスから抜け出す視点の自由度に関する質問」を紹介します。
P&G時代、初めて面接を担当するときに、人事のリーダーから教えてもらったことがあります。
「面接には3つ、大事なことがあります。第一に、優秀な人材を選別するのではなく、向いている人に気づくこと。全面的に有能な人物も、全面的に無能な人物もいませんが、向いている人物や不向きな人物はいます。そこで、現時点での能力の高低ではなく、向き不向きを見ましょう」
たしかに、新卒であれば大学3年生です。現時点の能力よりも、必要な能力を獲得するのに向いていることの方が大事そうです。そして「向き不向きは、その場の発言だけでなく、実際の行動から確認しましょう」とアドバイスされました。ハキハキした発言だけでうっかり評価してしまわぬよう注意喚起だったのかもしれません。これは必ずしも「成功体験や成果を重視する」ということではなく、「実際に実行に移した思考をみよ」ということと理解しました。
「第二に、評価基準に関わらず、ひと目で優秀だと分かる人材が少しいます。こうした人については、評価や選抜の場というよりも、会話を通して魅了する場です。キャリアの可能性や社内の雰囲気などを正直に説明し、うまく魅了しましょう」
学生だった頃の自分に対する面接が、はたして選抜だったのか、それとも魅了するための説明だったのか、記憶はかなり曖昧です。魅了されたような気もしますが、勝手に魅了されただけのようでもあります。そうした人材にあたった場合に備えて、魅了する文言を用意しておきました。
「最後に、たとえ不合格であったとしても、うちの会社のユーザーになる可能性は十分あります。消費者との大事な接点でもあるので、好印象で終わるよう心がけましょう」
社会心理学の実験のように、面接担当者は偉そうになりがちです。強面であれば、座っているだけでも圧迫感があります。真剣に聞いているのか不機嫌なのか、一見わかりにくい人もいます。にこやかに笑う方法も指導してもらいました。
加えて、できれば面接の終わり際に強みをアドバイスしてあげるようにも言われました。自身の強みを知ることで、自分に向いている仕事や会社を探しやすくなるかもしれません。
※後編に続く
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