日本の広告最新事例を世界の潮流から読み解く #27

“オマケ”が購買を促進。独特の面白みを出すサントリーのテレビCMと、海外の秀逸事例

前回の記事:
成増駅が「なりもす駅」に。東武鉄道とのコラボで、50周年を印象づけたモスバーガーの戦略
 私は長年、多くの広告コミュニケーションの海外事例を紹介、その分析に努めているのですが、この連載では、いつもとはある意味では逆に、まず日本の話題作に目を向けて解説し、そのうえで、その意図や施策の在り方が、海外のどんな潮流と関連しているのかについて考えていこうと思います。今回は、その第27回です。
 

テレビCMのたびに、家人は吹き出してしまうテレビCM

 
クラフトボス『宇宙人ジョーンズ・漫画家』篇 30秒 サントリーCM

 思わず吹き出してしまうような面白さに満ち満ちたこのテレビCM。何をメッセージしているのかと言えば、「今クラフトボスを買うと、もれなく音楽が聴けるよ!」というキャンペーンについてです。商品自体の美味しさや製法、成分などには一切言及していません。

 大物ハリウッド俳優トミー・リー・ジョーンズ演じる宇宙人ジョーンズが、様々な職業を転々としながら地球を調査するというシリーズの1本。今回ジョーンズは、漫画家のアシスタントになっています。

 「この惑星の、締切前は、戦場だ」というジョーンズの独白で始まり、漫画家先生(役所広司さん)とアシスタントが、急ピッチで作画を進めています。「間に合わない、音楽替えて!」の指示に応じて、スマホでBGMの音楽を変えるひとりのアシスタント(神木隆之介さん)。新しい音楽がスタートするのと同時に、デスクに置かれたクラフトボスのラベルが、スクロールするように変わります。

 『残酷な天使のテーゼ』の軽快なメロディに乗って作業を進める役所先生とアシスタントたち。ところが「あー、もう、やっぱ無理」と弱音を吐く女性アシスタント(杉咲花さん)。すると「いっそあきらめましょう。曲替えます」と先ほどの神木アシスタント。曲は「♪あーあー、川の流れのように~」と、一転してゆったりとしたテンポに。その曲調に、一瞬あきらめかける先生。それが別の女性アシスタント(天童よしみさん)が歌っているものであることに気づいて、「なに歌ってんだ、天童!」と一喝し、さらに音楽を替えるように神木アシスタントに指示します。すると曲が変わりますが、またまたゆったりテンポ。別の女性アシスタント2人(阿佐ヶ谷姉妹さん)が絶妙にハモる「赤とんぼ」です。またしても作業は滞り、役所先生も「あ~」と頭を抱えてしまいます。ここでストーリーはいったん終わり、後は、音楽キャンペーンの告知が続きます。

 このキャンペーンは、商品ラベルのQRコードから、「働く気分を盛り上げるプレイリストが聴ける」というもの。“働き方改革。そんな新たなワークスタイルの変化に寄り添い、ゆっくりと時間をかけて楽しむ、新しいコーヒー”を標榜する商品の内容に相応しい“オマケ”となっています。

 また、終盤の「気分で選ぼう、クラフトボスも音楽も」のナレーションで、この“オマケ”の意味合いを、さらに商品性に近づける努力もなされています。

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