日本の広告最新事例を世界の潮流から読み解く #28

主人公のキウイが他の健康法を過激に批判、ネットで話題の人気CMを分析

前回の記事:
“オマケ”が購買を促進。独特の面白みを出すサントリーのテレビCMと、海外の秀逸事例
  私は長年、多くの広告コミュニケーションの海外事例を紹介、その分析に努めているのですが、この連載では、いつもとはある意味では逆に、まず日本の話題作に目を向けて解説し、そのうえで、その意図や施策の在り方が、海外のどんな潮流と関連しているのかについて考えていこうと思います。今回は、その第28回です。
 

 “楽しくない”健康法を、次々に撃破して行くキウイブラザーズ


 ゼスプリは、ニュージーランド産キウイの生産・販売会社です。日本では、キウイを擬人化したキウイブラザースをフィーチャーしたテレビCMを2016年から投入し、人気を博しています。

 さらに2020年からは、キウイに、ビタミンCや食物繊維、カリウムなど、日常生活の健康に良いとされる10種の栄養素が含まれていることを背景に、「美味しく、楽しく、ヘルシーになれる」とメッセージ。「ヘルシーを、やみつきに」や「ヘルシーなのにアゲリシャス」のコピーで展開しています。

 この「ヘルシーなのにアゲリシャス」とは、キウイに含まれる多様な栄養素が健康をサポートし、ジューシーなおいしさが気分もあげてくれることを訴求しています。

 キウイで「美味しく、楽しく、ヘルシーになれる」とメッセージするには、苦しそうだったり、怪しげな健康法を否定的に扱ったりするのが近道です。もっと言うと、「世の中の健康法は苦しそうなものが多いけど、それは違うと思う。キウイなら、美味しく、楽しく、ヘルシーになれるよ」と、世間の常識にも物申しているわけです。

 今回の新テレビCMでは、バナナ先輩が、サウナスーツに身を包みヘトヘトになりながら苦しそうにランニングをしています。さらに、オレンジ先輩は、怪しい色のドリンクをツラそうに飲もうとしています。リンゴ先輩は、なんと、“健康になれる石”をネットで購入しようとしています。
 
ゼスプリの2022年テレビCM「ヘルシーなのにアゲリシャス篇」

 世の中にあるこうした苦しそうだったり怪しげだったりする健康法を、キウイブラザーズは、バッタバッタとなぎ倒して行きます。このテレビCMはネット上でも人気を博し、初オンエアの直後には、Twitterの日本トレンドで第一位となりました。

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