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【速報】ビームス執行役員 DX推進室長の矢嶋正明氏が3月末で退職し、バイクのカスタマイズ企業代表へ

 

アルバイトからEC・DX責任者へ、マーケティング業界にも多大な貢献


 ビームスで執行役員 DX推進室長を務め、同社のEC事業やOMO、DX施策を率いてきた矢嶋正明氏が2024年3月31日をもって退職する。同氏は1998年にビームスのアルバイト販売員を始め、2000年に入社。店舗勤務を経て2005年にEC部門を立ち上げ、責任者としてEC事業全般の拡大に取り組んだ。2009年に自社ECサイトを開設して以降、店舗と自社ECのサービス共通化を進め、2016年に自社ECを完全直営化。その後、全てのオウンドメディアを統合したメディアコマースサイトを構築し、リアル店舗とオンラインの垣根を無くすオムニチャネル化を推進してきた。

 今ではアパレル業界で当たり前になったECサイトにおけるスタッフコンテンツ発信を他社に先駆けて導入するなど、時代を先読みした施策を次々と展開。マーケティングカンファレンスの「ダイレクトアジェンダ」や「リテールアジェンダ」のカウンシルメンバーを務めるなど、マーケティング業界全般の発展にも大きく寄与してきた。

 「アルバイトでビームスに入り、ちょうど25年。ひとつの区切りと思いました」と矢嶋氏。4月以降は、愛好するハーレーダビッドソンなどのオートバイやバイク部品などを扱う企業を事業承継し、代表として自らEC事業を伸ばしながら、オートバイカルチャーやコミュニティの醸成を目指すという。

 マーケティング業界に対しては「生成AIなど新たなパラダイムシフトが起きようとしている」と注視する。マーケティングにおける「ファン」の重要性が高まる中、各種協会団体のフェローも務めるなどして「引き続きマーケティング業界の発展にも役立ちたい」と語る。

 「大好きな服に囲まれて働きたい」という動機からビームスに入り、「インターネットで服は売れない」とされた時代からEC事業を立ち上げ、最先端のマーケティングスキルを磨きあげた上で再び「ワクワクできる仕事」(矢嶋氏)へと鮮やかに転身していく同氏。その生き様は多くのマーケターに、一種の憧れとも言えるモデルケースを提示しそうだ。今後のますますの活躍に期待したい。
  
 

矢嶋正明氏 特別インタビュー


 服が大好きで、毎日服に囲まれる生活がしたいと大学生でビームスにアルバイトとして入り、四半世紀も働かせていただいたことに感謝します。25年のうち15年間はEC事業、オフラインとオンラインを結ぶOMO、そしてDXと幅広く担わせてもらいました。ひとつの区切りを付けたいと思い、転職を決意しました。

 BtoCの小売事業においては、リアル店舗とオンラインは互いに食い合ってしまうというのが定説でした。リアル店舗がメインで、後発のEC担当者は心理的にも厳しい時代が長かったと思います。よく私は「太陽と月」にたとえるのですが、お客さまの目線に立てば、リアル店舗は日中の太陽、ECは夜に訪れる月です。お客さまに寄り添うサービス設計としてOMOを推進してきましたが、マーケティング業界全般においても、これまで企業が一方的に売ってきたビジネスが、次第に顧客目線を優先する形に変わってきたのは、良い方向だと思っています。

 ビームスはファッションを売るだけでなく、ファッションカルチャーを大事にする会社です。その「カルチャー」は私にとってもとても重要で、今度はオートバイやハーレーといったニッチなカルチャーを大事に広げていきたいと思います。得意分野であるECの知見を活かしながら、近年マーケティングにおいて重要性が増す「ファン」のコミュニティを醸成し、彼らが必要としている情報やサービスを提供していけたらと思います。

 一区切りとは言いましたが、今は生成AIの登場など、マーケティング業界においても新しいパラダイムシフトが起きようとしています。引き続き、オムニチャネル協会やコミュニティマーケティング協会のフェロー、マーケティングカンファレンスへの参画なども通じて、日本のマーケティングの発展に役立ちたいと考えています。

 ※編集部より
 ビームスにおける矢嶋氏のEC戦略に迫った記事はこちら
 前編:ビームスの独自「EC戦略」は、どのように誕生したのか【対談 オイシックス・ラ・大地 西井敏恭、ビームス EC 矢嶋正明】
 後編:ファッションECサイトは、リアル店舗と「カニバリ」しない【対談 オイシックス・ラ・大地 西井敏恭・ビームス EC 矢嶋正明】

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