「紅茶よりTEAにしない?」って、いったいどういうこと!? “ライバルブランドありき”の広告表現で勝負する『クラフトボス 世界のTEA』シリーズ
2025/04/30
紅茶もTEAも一緒だろ!と、思わず突っ込みたくなるキャッチフレーズ。どう見ても、ライバルブランドである『午後の紅茶』を意識していそう
古くは20世紀後半のペプシによる“The Choice of a New Generation”キャンペーンが有名なのですが、自社製品を持ち上げるのに、先行するライバルブランドを持ち出す方法論は、広告コミュニケーションの得意技の一つと言ってもいいほどです。“The Choice of a New Generation”では、コカ・コーラを古臭いものとしてポジショニングし、それに対してペプシは”新しい世代の選択“だと訴えて人気を博し、一時期はシェアが逆転するところまで行ったと言われています。
いま駅貼りポスター等で盛んに展開しているサントリー『クラフトボス 世界のTEA』シリーズの「紅茶よりTEAじゃない?」というキャッチフレーズを見た時に僕は、すぐにこう思いました。「これは詳しく言うと、『午後の紅茶』より『世界のTEA』が良いんじゃない?という意味だろうな」と。
ペットボトルの紅茶飲料と言えば、1986年の発売という長い歴史を持つ『午後の紅茶』が、まず思い浮かびます。それに対してサントリーのクラフトボスは、コーヒーのイメージが強く、紅茶飲料としてはまったくの後発組です。
Webサイト等を見ると、「世界のさまざまな国や地域の“ティー”の文化やレシピからヒントを得て、多様な素材を使ってアレンジ」しているから、紅茶ではなく「世界のTEA」なのだという趣旨の説明が見られます。が、わざわざ一番目立つキャッチフレーズで、“紅茶よりTEA”と謳い、おなじみの宇宙人ジョーンズに加えて、松たか子さん、杉咲花さん・河合優実さん・伊藤沙莉さんの4人の人気タレントで強力に訴求するのは、「“午後の紅茶”対抗!」の意図が強く読み取れると思います。
クラフトボス 世界のTEA『宇宙人ジョーンズ・四姉妹篇A』
参考:「クラフトボス 世界のTEA」シリーズの広告コミュニケーションはこちらで見ることができる。