マーケティングにおけるスポーツコンテンツの価値 #03

【決定版】スポーツビジネスにおける5つのプレイヤー、有益なパートナーの見つけ方(アビームコンサルティング 久保田圭一)

有益なパートナーの見つけ方

 パートナー候補となるプレイヤーを紹介してきたが、自社にとって有益なパートナーは、どのように見つければ良いのだろうか。ここからは、筆者がスポーツビジネスを推進している経験則から、いくつかのポイントを挙げたい。最初に断っておくが、結構アナログなポイントである。
 

【スポーツ関連のカンファレンスに参加すること】

 スポーツビジネスに積極的な上記のプレイヤーは、スポーツ関連のカンファレンスに積極的に参加している。今年6月に沖縄で「Sports x Marketing Agenda」が開催されたが、その場でも多くの上記プレイヤーが参加していた。カンファレンスの特徴ごとに集まるプレイヤーの傾向は異なるが、基本的には全てに参加してネットワーキングを行うことが望ましい。
 
Sports x Marketing Agenda(スポーツマーケティングアジェンダ)
 結局のところ、会って話をすればするほど、相手のことは理解できる。友人関係が構築されることと同じだ。テーマがスポーツだけに、比較的フランクに多くの人とコンタクトすることが可能である。その点もスポーツの持つ価値といえる。パートナーを見つけるには、まずネットワーキングから、ということだ。     
 

【パートナー候補のビジネスモデルを理解すること】

 実際にパートナー候補が見つかった場合、重要なことはそのパートナーのビジネスモデルや課題を理解することである。一緒に取り組んだ場合、パートナーにどのようなメリットを与えられるのか、それを明確に示すことが賛同を得るポイントとなる。

 例えば、セレッソ大阪と駐車場予約アプリ「akippa」の連携は好事例といえる。セレッソ大阪は、サッカーの試合を観にスタジアムに車で行きたいファンに対して駐車場を十分に提供できないという問題を解決できる(セレッソ大阪のメリット)。akkipaは、想定ターゲットであろうスタジアムに来るファンに対して認知度を高めることができ、サービス内容を訴求できる(akippaのメリット)。 

 結局は、双方のビジネスにならなければパートナーは成立しない。そのためには当たり前のことであるが、パートナー候補に対する理解を深める必要がある。
 

共感、時間、エコシステム

 これまで3回に渡って、「マーケティングにおけるスポーツコンテンツの価値」をテーマに連載をしてきた。

 1回目は、スポーツコンテンツは、共感を生み出すものであり、それこそが価値である。メッシが踏んだ芝はなんか凄い、買いたくなる、と思わせる力を持っている。その力を最大限に活かすための共感ストーリーを作ることが重要ということを述べた(共感)。

 2回目は、共感ストーリーを伝えていくためには、時間を奪うことが重要であるとした。我々は起きてから寝るまで、様々なことに時間を奪われている。共感ストーリーを伝えるためには、その時間を奪い返すしか道はない。その方法は、時間を奪っているものの「代替」をつくりだすか、時間を奪っているものに「便乗」する方法がある。

 特にスポーツは、試合を観にいけばほぼ1日時間を奪うものであることから、どうやって便乗するかを考えるのが有効だろう(時間)。

 そして3回目となる今回は、パートナーを見つけることの重要性を説明した。スポーツコンテンツを活用していくには、やりたいことに応じて、最適なパートナーを見つける必要がある。そのためにはスポーツビジネスのプレイヤーを抑え、ネットワークを構築していくことが良いパートナーにめぐり合い、価値を生み出すエコシステムを構築することができるだろう(エコシステム)。

 この「共感」、「時間」、「エコシステム」という視点が、スポーツコンテンツの活用において有効な示唆となることを願っている。筆者自身も、さらに思考をブラッシュアップしながら、スポーツコンテンツを活用した価値創出に取り組んでいきたい。

 
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