日本の広告最新事例を世界の潮流から読み解く #63
クアーズと大谷翔平、JFEスチールとサンドウィッチマン 共通点は「乗っかり力」
2026/01/06
私は長年、多くの広告コミュニケーションの海外事例を紹介、その分析に努めているのですが、この連載では、いつもとはある意味では逆に、まず日本の話題作に目を向けて解説し、そのうえで、その意図や施策の在り方が、海外のどんな潮流と関連しているのかについて考えて行こうと思います。今回は、その第63回です。
企業の言いたいこととサンドウィッチマンの面白さ、どちらも伝わる秀逸CM
広告の世界ではタレント起用が一般的で、高額な契約料を支払ってでも、タレントパワーに「乗っかって」、商品・サービスの魅力を伝えようとします。親しみやすさとか若々しさとか知的な雰囲気といったタレントの持つ特徴と、商品・サービスの持つ特徴とを掛け合わせて、効果的なクリエイティブを目指すのです。
日々テレビを眺めていて、思わずニヤリとしてしまう広告のひとつが、お笑いコンピ「サンドウィッチマン」を起用した、大手鉄鋼メーカー・JFEスチールのテレビCMです。「鉄はサステナブルな素材である」ということを伝えるために採用されたキャッチフレーズが「サス鉄ナブル」という、いわばダジャレ。お堅いイメージの会社だからこそ、くだけたダジャレで親しみをもってメッセージしたいという意図が読み取れ、お笑いタレントの起用もその延長線上にあると考えられます。
実際に、2023年1月公開の第1弾「鉄こそがサス鉄ナブル」編には、サンドウィッチマンの富澤さんが「サス鉄ナブルって、サステナブルに似てない?」とボケて、伊達さんが「かけてるからね」と絶妙に突っ込むシーンがあって、クスっとしてしまいます。
JFEスチール「鉄こそがサス鉄ナブル」編
「サス鉄ナブル」というコピー自体、たとえば打ち合わせの場でコピーライターが提案したとしたら、他のメンバーから「それはちょっと強引じゃない?」などと突っ込まれるようなワーディングです。このキャッチフレーズを採用した時点で、すでにお笑いコンビの上手な起用に繋がっていく流れがあったのかもしれません。
2025年12月18日に公開された第4弾「テマ高架橋」編でも、ガーナでの高架橋建設にJFEスチールが貢献したことを題材に、サンドウィッチマンの絶妙なボケとツッコミが炸裂します。自国の言葉で語るガーナ人の出演者。その発言を、富澤さんが日本語で「JFEはガーナの渋滞解消のために橋をつくってくれました」と通訳し始めると、「え、お前、ガーナの言葉、分かんの!?」と伊達さん。次にガーナ人が何か一言だけ発すると、「寿命の長い橋を短期間でつくってくれて、しかも・・・」と富澤さん。それを遮るように「そんなに喋ってねぇだろ、お前!勝手に通訳すんなよ」と伊達さん。さらにガーナ人がただ一言、「JFE」と言うと、「JFEの技術力のおかげでガーナの未来は・・・」とまた通訳する富澤さん。そして「いまJFEしか言ってねぇだろ!」と伊達さん。
富澤さんのセリフでJFEスチールが伝えたいことがきっちりと伝わりつつ、2人のやりとりの面白さも十分に担保されています。
JFEスチール「テマ高架橋」編




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