マーケティングアジェンダ2021外伝 #04

本当の「インサイト」はどこにあるのか? 吉野家伊東氏、デコム大松氏による”お客様訪問インタビュー実践講義”【マーケティングアジェンダ2021レポート第四回】

   

「キーインサイト」、「バリュープロポジション」をプロモーションに落とし込む

  
 実際に、大松氏が落とし込んだアウトプットがこちらです。
    

      
 ご覧になると、すぐわかると思いますが、画面から見える背景情報の観察、そこから特徴的な部分を抽出、読み取れるエモーションとその裏に存在するバックグラウンドがまとまっています。
   

    
 そこから、一番ネックになっているキーインサイトを抽出し、バリュープロポジション(顧客に提供する価値)に落とし込まれています。

 答えはひとつではなく、あくまで一例です。なので、インタビューの受け取り方によって様々な回答が得られます。実際に発表されたチームごとに全く異なる見解が得られていましたが、その見解の精度は当然異なるわけで、ここに経験とノウハウが必要なのだなと改めて実感する“良セッション”でした。
 

まとめ:仮説探索にもっと時間を割くべき

 
 このセッション内容のまとめとしてわかりやすかったので、ラップアップでの大松氏の内容も合わせてご紹介します。



 「マーケティング調査においての目的は①仮説検証、②仮説探索があるが、大抵が①に時間が向けられている。②への時間も増やすと良い」と大松氏は話します。

 そして、「さらに分類すると、それぞれを『asking→聞いたことはわかるが、それ以外は不明』、『listening→新しい発見ができるが、データが整ってないので分析が難しい』」と非常にわかりやすい整理でご説明されていました。この分類で、皆さんのやっているリサーチに偏りはないでしょうか。おそらく、仮説検証のaskingにばかり寄ってしまっている方が多いのではないでしょうか。

 最後に、「マーケターは表面で見える善の欲求(天使)ばかりを見がちだが、裏に隠された負の欲求(悪魔)にも目を向けられるとより深まる」と大松氏は続けます。インタビューはまさに話していることが本当なのかを疑うことが重要です(ラップアップでは、グループインタビューは他人がいることでより見繕うことが多くなり、実際に使える意見が少ないと不評でした)。

 一人ひとりとじっくり話して得られた意見、オンラインでのアンケートのフリーアンサーなど、お客さまがより生々しく回答できる状態で得られた言葉、情報でないとインサイトは掘り当てられません。

 非常に参考になる内容が多かったのではないでしょうか。他にもマーケティングアジェンダ2021の記事をまとめておりますので、ぜひご覧ください。
 
  • キーノート#3 元ネスレ高岡浩三氏、ファミマ足立光氏によるキーノート「イノベーションメソッドの根本に迫る」(公開中)
  • キーノート #2アントラーズ小泉氏、オルビス小林氏によるキーノート「スポーツ」と「人間理解」。テクノロジーの歴史から人の求めるモノはどう変化を遂げたのか?(公開中
  • キーノート #1「ある経営者の人間理解についての考察」と最終日のラップアップから人間理解の本質に迫る(公開中

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