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第62回ギャラクシー賞 CM部門の大賞は三井住友銀行 Olive「通帳の人」

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第62回ギャラクシー賞 CM部門の大賞は三井住友銀行 Olive「通帳の人」

CM部門大賞は、三井住友銀行 Olive「通帳の人」

 優れたテレビやラジオの番組、CM、報道活動を顕彰する「第62回 ギャラクシー賞」(主催:特定非営利活動法人 放送批評懇談会)の贈賞式が6月2日、東京都渋谷区のセルリアンタワー東急ホテルにて開催された。

各部門(テレビ・ラジオ・CM・報道活動)の入賞作品は4月28日に発表済みで、CM部門 入賞作品はアジェンダノートでも既報の通りだ。贈賞式では、その中から選出された大賞1点・優秀賞3点・選奨9点が発表された。

 CM部門の大賞に選ばれたのは、三井住友銀行 Olive シリーズ「通帳の人」。銀行口座・決済・証券・保険をアプリで一元化し、お金を管理しやすくするサービス「Olive」のCMで、毎朝の記帳を欠かさない「通帳の人」が親戚一同からOliveへの切り替えを勧められる様子を描き、スマホ口座の利便性を訴求するものだ。

▶︎三井住友銀行 Olive シリーズ「通帳の人①」「通帳の人②」「通帳の人 手続きって、”つながり”やねん。」「通帳の人 俺もまとめてんねん。」「通帳の人 そのポイントをくれんのは、誰や?」
三井住友銀行/電通/TUGBOAT/東北新社

「通帳の人①」篇


 選奨事業委員会 CM部門委員会による選評は次の通り。

 いわゆる説得型の広告は、表現のさじ加減がカギを握ります。説教臭さや深刻さが過ぎると受け手は心を閉ざしてしまう。とはいえ当たり障りのない言葉は心に響かない。その点、本作は目の前で繰り広げられる情景を「ほどよく他人事」として捉えることができるつくりが秀逸と感じました。

 「人生は近くで見ると悲劇だが遠くから見れば喜劇だ」とはチャップリンの名言ですが、当事者にとっては一大事でも、第三者の目線で見れば取るに足らないことは少なくありません。本作の主人公「通帳の人」は、毎朝の記帳を日課としている極端なキャラクター。親戚一同の冷めた視線や鋭いツッコミに必死に抵抗する彼を引きで眺めることで、ターゲット=「通帳の人たち」はこの状況をおかしみをもって受け止められたのではないでしょうか(選奨委員のメンバー数名からは「心が痛い」との声も聞かれましたが)。

技術革新が急速に進む中、今後も生活者が変化への対応を迫られる局面は幾度となく訪れるでしょう。そんな時代における、CMのあるべき姿とは? 人々の不安に向き合う姿勢、心の緊張を緩めるユーモア、情報過多の中でも目を引く作り込み…本作から重要なヒントを読み取ることができました。

また、優秀賞は以下の3作品。

▶︎キリンビール KIRIN 一番搾り 糖質ゼロ シリーズ「いい時代」篇、「誰が決めたの?」篇
キリンビール/電通/太陽企画

▶︎大日本除虫菊 シンカトリ 金鳥文庫 わたしは猫シリーズ「1」「2」「3」「4」「5」「6」「7」「8」
大日本除虫菊/電通(Creative KANSAI)/ヒッツコーポレーション

▶︎KDDI UQ親子応援割 シリーズ「#親子のスマホンネ」
KDDI/電通/AOI Pro.

「今朝言えばよかったのに。」篇


そして、選奨は以下の9作品となった。

▶︎大塚製薬 カロリーメイト「それぞれの音色」篇
大塚製薬/博報堂/catch/ENOAD/AOI Pro.


▶︎花王 メリット シリーズ「家族と愛とメリット」
花王/電通/電通クリエーティブX

「一年生になった日」篇

▶︎小学館 例解国語辞典「例解学習国語辞典 2024 TVCM」
小学館/電通/AOI Pro.

▶︎中央軒 企業「私たちは考えました」篇
中央軒/朝日放送ラジオ/ビッグフェイス

▶︎海上保安庁 シリーズ「海上保安官物語」
海上保安庁/読売広告社/読広クリエイティブスタジオ

「海上保安官物語vol.2」兄は海上保安官【海上保安庁 第三管区】

▶︎キングジム テプラ シリーズ「#おねがいテプラ」
キングジム/電通/二番工房

「【#おねがいテプラ】肩こり」篇

▶︎セブン銀行 企業 シリーズ 連続ミニチュアドラマCM「第0会議室」
セブン銀行/電通/ソーダコミュニケーションズ

『第0会議室』第1話「前代未聞のコンビニATM」

▶︎日産自動車 日産90周年記念ムービー「NISSAN LOVE STORY」
日産自動車/TBWA HAKUHODO/TYO


▶︎ユニクロ ユニクロ年末祭・新年祭 シリーズ 年末年始いるいる劇場byシソンヌ▼「年末年始いるいる劇場 ティザー」▼年末いるいる劇場byシソンヌ「地元の服装、油断しがち。」「服も年末の挨拶も重ねがち。」「地元の飲み会、座敷がち。」「大掃除、思い出に邪魔されがち。」「方言と標準語、ハイブリッドがち。」▼新年いるいる劇場byシソンヌ  「初夢、忘れがち。」「ウエストゆるめがち。」「新年、はりきりがち。」
ユニクロ/電通/太陽企画

 

応募総数は前年度から49点増

 ギャラクシー賞は、日本の放送文化の質的な向上を目的とし、優秀な番組・個人・団体を顕彰する賞として1963年に創設された。テレビ・ラジオ・CM・報道活動の4部門で構成され、毎年4月1日から翌年3月31日を審査対象期間としている。
 時代性に優れ、ジャーナリスティックな感覚を持ちえていること、かつ作品として普遍的な力量を備えていることの2点が選考の柱。これを踏まえ、CM部門は「情報性」「創造性」「社会性」「エンターテインメント性」の4つのポイントで審査を行い、「創造性にあふれ、メッセージがわかりやすく伝わり、視聴者の琴線にふれる、そして放送文化を担うにふさわしい社会性に優れたCM」を選出する。

 62回目を迎えた今回の応募総数は335点(上期149本、下期186本)。内訳はテレビCMが154本、ラジオCMが81本、Web CMが100本で、前年度の286本から49本増となった。上期・下期でそれぞれ13点の入賞候補作品を選出し、最終選考会で入賞作品13点を決定した。

 

選奨事業委員会 CM部門委員会

・委員長 家田利一
・副委員長 風間恵理子
・委員 伊藤健志 岡野敏之 片桐 理 齋藤千明 佐藤義浩 生野 徹 
    中橋 敦 野上信子 平岩モトイ 藤掛真里 柳 志旼

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