ニュースと体験から読み解くリテール未来像 #03

世界NO.1食品スーパー Krogerの最新アプリを使って見えた改善ポイント

前回の記事:
世界最大手食品スーパーKrogerが、Microsoftと組んで始めた最新アプリ・デジタルサイネージを体験

シアトルでの大雪の中、最新アプリを体験

 前編では「クローガー(Kroger)」の世界の小売業における位置づけとマイクロソフトと組んだシステムを使った購買の流れまで触れました。中編は、2日連続で体験したレポートです。

 私は2店舗ある実証実験店舗のうち、マイクロソフト本社近くの「Bella Bottega QFC店(8867 161st Avenue Northeast, Redmond, WA 98052)」に行きました。

 ここはクローガーグループでもワシントン州に多い「QFC(Quality Food Centers)」の店舗です。クローガーはM&Aを繰り返して世界最大の食品スーパーとなった企業ですので、システムはともかく屋号は、老舗QFCのまま営業しているわけです。シアトル滞在中の2日連続で訪店して、試してみました。

初日の体験 現地時間2月11日(月)


 UBERの運転手いわく「シアトルで、こんなに雪が降るのは70年ぶりだよ!」という大雪の中、到着しました。24時間営業ですが、19時で締めて臨時休業するということで到着した16時過ぎ時点で併設のパンダエクスプレスはオーダーを取らないという状況(来店客が著しく少ない)でした。

 正直、「Scan,Bag,Go」アプリの挙動が不安定でした。起動すると(おそらく)統合認証基盤経由で会員アプリのIDでログインするのですが、ここの確認ボタンを数回する間にエラーではじかれたり、ようやく会員アプリの買い物リストを読み込めたと思ったら、ロケーション表示されなかったり、通常と思われる挙動までに1時間以上試行錯誤しました。テスト店とはいえ、システム自体も不安定ですし、商品およびロケーションマスタも不備が多い印象でした。



 この日は、大雪で帰りのUBERが確保できなくなる前に戻ることにしたため、案内機能が二度ほど正常機能するまでの体験となりました。

 次の写真のように、アプリに買い物リスト商品の棚位置が表示されて探す手間を減らし、棚近くまで行くと自分用のマーク(私はバナナ)が表示されてより見つけやすくなりました。


 この写真はマークを見えやすく写したものなので、視認性が高いのは当然です。IR向けには、こういう画像が出るわけです。

 しかし実体験上どうだったか、と言いますと、次の2枚のように商品名、売価などの情報とマークが点滅で表示されるため、意外と見落としやすい上、買い物リスト登録客以外に不便です。例えば、プライスカード表示の両側に矢印を表示するなどしたほうが識別しやすいかもしれません。




 早期に改善が必要と考える最も重要な点をあげます。この売場案内機能が働くのは、買い物リストの一番上の商品のみです。一番上の商品の前に他の買い物リスト商品の棚に行っても、バナナは表示されません。2番の棚商品をピックアップして13番に行き、3番に戻りという動線でアプリに従って歩くと、通常の買い物よりも時間がかかります。

 すぐに思いつく改良点は3つあります。
 
①位置情報連動で現在地から最も近い商品から表示する。
②移動距離を最低限になるように、買い物リストを自動で並び替える。
③全てのリスト商品のロケ表示を行う。

 システム的に単純な③だけでも使いやすくなると思いますが、せっかくアプリを使うので買い物が便利になるように、アプリならではの①を実装して欲しいものです。

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