PHOTO | 絵・倉橋 美佳
「今だからこそ」ダイレクトマーケティング基礎講座 #05

CPA至上主義に陥る背景と、脱却するために必要なこと【ペンシル 倉橋美佳】

前回の記事:
ダイレクトマーケティングにおける、カスタマージャーニーの使い方【ペンシル 倉橋美佳】

CPA至上主義が生まれた背景

 第一回で、CPA(顧客獲得単価)について紹介しましたが、今回はここ数年の課題になっている「CPA至上主義」について考えたいと思います。

 CPAとは「コスト・パー・アクション」の略で、一人あたりの初回購入などにかかるコスト(広告費など)を表したものです。

 インターネット広告が伸びてきたことにより、CPAは一般的な言葉となりました。

 一昔前まで、通販会社にとってCPAは、高い機密性を保たなければならない情報のひとつで、インフォマーシャルやチラシによるCPAがいくらかという情報は、広告を仕入れている広告代理店にさえ伝えていないほどでした。

 また、多くの通販会社は、社内にコールセンター機能を持っていることも多かったため、最終注文までインハウスで完結していました。

 ところが、インターネット広告は、注文完了までを計測することができ、その普及に合わせて注文数などの情報は、徐々にオープンになっていきました。

 そして、インターネットの運用型広告が主流になると、コンバージョン最適化機能の実装や運用チューニング、運用バッファが大きいアフィリエイトなどの成果報酬の取り組みが増え、CPA・コンバージョン数といった情報はオープンにした方のメリットが大きいという認識が広がりました。

 これによって生まれたのが、「CPA至上主義」という考え方です。
 
@123RF
 広告代理店の担当者の評価は、会社からはクライアントの広告出稿費、クライアントからはCPAとなるわけですから、とにかく安く数を獲ることに躍起になっていきます。

 今までクライアントがCPAをインハウスで管理できていた状態から、広告代理店だけではなくメディア側にも情報が公開されてしまう形になりました。それによって、目標達成に向けて、真摯に向き合うようになり、CPAを守るために色々な知恵を絞るようになりました。

 ここで忘れてはいけないのは、本来のCPAは、途中地点での数値であり、あくまでも収益ゴールはLTVであるということです。ですが、次にあげる2つの背景がCPA至上主義を促進させてしまうことになります。

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