「今だからこそ」ダイレクトマーケティング基礎講座 #08
お客さまは、誰? 顧客マネジメントとNPSを正しく定義できていますか 【ペンシル 倉橋美佳】
2019/01/23
顧客と出会った瞬間、CRMは始まっている
私が通販事業を支援する中で「CRM」という言葉が年々、重要視されるようになってきていると感じます。CRMとは「カスタマー・リレーションシップ・マネジメント(Customer Relationship Management)」の略称で、継続的なコミュニケーションによってリピート顧客を育成し、その結果として「LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)」を高めるための考え方です。
参考記事:LTV(生涯顧客価値)が重視される背景と、上げるための方法
通販の黎明期は、効率的に新規顧客の獲得ができ、比較的短い期間で黒字化が実現できていました。しかしながら現在のように、商品・情報が過多で競合ひしめく状況になると、新規顧客の獲得が困難になり、獲得した顧客をより長く育成することが必要になってきました。
「顧客マネジメント」とは、顧客データをより多く蓄積・管理し、それを活用したコミュニケーション設計を行い、実践していくことを指します。顧客データの中には、「氏名/住所などの個人情報」だけでなく、「注文履歴」「Webサイトのアクセス履歴」「アンケート結果データ」「ソーシャルメディア連携データ」など様々なデータが含まれます。
ここで出てくる課題は、一人の顧客をどのように特定するかということです。もちろん、注文をした顧客の情報は一意ですが、顧客は複数のブラウザ・メールアドレスなどを使い分けている可能性もあります。
スマートフォンで見た後にPCでも閲覧し、PC用のメールアドレスで購入した。
後日、スマートフォン用のメールアドレスでリピート購入した。
後日、スマートフォン用のメールアドレスでリピート購入した。
こんな行動パターンも容易に想定できます。
先日、あるセミナーで一人あたりの保有Cookie数は、平均で7つという話を聞きました。少し専門的になりましたが、「Cookie」とはWeb上で一人として数えるための印のようなもので、計測やデータ分析の際によく使われる指標にもなっています。
通販企業としては、顧客が注文後にWebサイトを訪れて、どういった情報を見たかということは、コミュニケーションの設計上で知っておきたいのですが、情報を紐付けできずに分からない可能性があるわけです。
つまり、顧客マネジメントにおいて、一人の顧客データを正確に把握し、様々なタイミングで最新の情報とうまく紐づけながら格納し、データとして活用していくことが大切なのです。
そして、その効果を最大化するためには、次の3つの視点が重要になります。
- 顧客データを正確に格納・蓄積できること
- 顧客コミュニケーション設計を行い、施策を実施すること
- 施策ごとの評価指標を明確にし、結果を検証すること
では、なぜ顧客マネジメントを行っていく必要があるのでしょうか。