音部で「壁打ち」 – あなたの質問に答えます。 #10

あなたはナポレオン? それともモルトケ? マーケターのタイプを習熟度ごとに分類

前回の記事:
優れたマーケターになるには、マーケティンングのフレームワークを数多く学んだ方がいいですか?【音部大輔】

【質問】

 音部さんは、「マーケター」をどのように分類できると考えていますか?

 連載の第7回「上司から『マーケティングだけを学んでも、いいマーケターになれない』と言われました。本当ですか?」で、マーケターを野球のポジションに例えて説明しました。今回は、それを深掘りして、私が考える分類をお話しします。 

 まず、ある程度経験を積んだマーケターである、マーケティング本部長やCMOの分類です。この場合は4象限に分けています。



※2019年開催のマーケティングカンファレンス「ネプラス・ユー」で解説した図を使用。

 横軸は「回復をさせる人」「持続的な改良をする人」に分けています。両方できる人もいますが、片方が得意な人が多い印象です。

 去年まで行ってきたことと同じことを持続的に改良し続ける胆力あるいは持久力がある「改良」の人と、去年まで行って上手くいかなかったことを否定して、より大きいスティープなカーブを描くために現状の方針を変えられる「回復」の人では、求められる力が違いますよね。

 縦軸は「ナポレオン」「モルトケ」に分けています。ナポレオンはご存知の通り、皇帝にして現場指揮官にして将軍です。一方で、モルトケは普仏戦争でフランスを破ったプロイセンの参謀総長です。モルトケは国家元首でも現場指揮官でもないですが、それぞれの部隊の力を最大限に引き出せるような構造づくりのために参謀本部という組織の仕組みをつくりました。

 自ら指揮をとり、自身の前線だけは何があっても崩させないのがナポレオンです(結果的にナポレオンは自身が直轄しない他の前線が後退して戦争に負けるのですが、直接指揮をとった戦闘においては絶大な力を誇りました)。個の戦闘力や直接指揮の能力が必須です。一方で、組織で戦争に勝とうとするのがモルトケです。人材育成を含む組織構築の能力が不可欠です。

 特に組織の規模が小さく、複雑ではないケースでは、ひとりで指揮できるナポレオンタイプが効率がよく有利です。しかし、ブランドが10個も20個もある大型の組織では、モルトケタイプでないと無理です。何より時間の制約があるため、全領域で高精度の指揮をすることはできないでしょう。

 今度は、CMOレベルではなく、ブランドマネージャーなどのミドルクラスの場合の4象限を見ていきましょう。 

 

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