SNS・消費行動から見えてくるアラサー女子のココロ #04
「ミレニアル世代」という幻に騙されている大人たちは、一刻も早く世代論をアップデートすべきだ【りょかち】
ミレニアル世代、という言葉の本当の乱暴さ
しかし、本質的な問題は、ミレニアル世代が新しい概念かどうか、ということではない。冒頭で語ったのは、「30代の上司と、新卒が同じクラスタに入れられることに対する違和感」である。それはつまり、「ミレニアル世代」や「F1層」という15年単位のセグメントでは、現代ではまるで機能しないのではないか?という疑問だ。
バブル崩壊直後に生まれ、iモードとドコモの絵文字に中学生で憧れ、高校生でiPhoneに触れて、25歳でビットコインを買った。色んな人が「今はとにかく時代の流れが速いから」と話す。
日常は変化するし、変化する毎日こそ日常だと思っている。そんな私にとって、15年前とは果てしなく昔のことだ。会社の先輩が、「東京ラブストーリーが再放送されるから見てみて!あの頃の恋愛はスマホもない絶妙なすれ違いがあっていいのよ~」と話していた。27年前のドラマ。恋愛の手法も大きく違っているのかもしれない。
さらに、とある記事で、「デジタルではマスメディアよりも大きなリーチや影響力がとりにくい」というような話を前提にデジタルマーケティングが語られていた。まさにそれは、私がコンテンツの消費者として感じていることで、ソーシャルメディアの世界では「みんなが見てる」の「みんな」はとても小さい世界である事が多い。
(https://agenda-note.com/technology/detail/id=508)
TwitterやFacebookのタイムラインはフォローしている人によって千差万別であり、SmartNewsなどのタイムラインもまた「パーソナライズ」を名目に人によって全く違うフィードを表示している。同じ時間帯、同じチャンネルで、同じ番組を多くの人が見ているという世界は、もはや全時代的な風景になってしまったと言っていいだろう。
みんなバラバラなものをインプットして、日々を生きている。以前記事にも書いたが、それによって、世の中に存在しているクラスタはどんどん小さくなっているのだ。(https://agenda-note.com/customer/detail/id=211)
「ミレニアル世代」という全時代的なラベリングを頭の中から剥がそう
15年という単位でセグメントするにはあまりにも時代の流れは速く、もはや、同じ世代でもインプットしているコンテンツがそれぞれに違うのだから、数年単位でクラスタを設定しても、ケースによっては機能しない時代だ。
クラスタはどんどん小さくなり、個人の好みやライフスタイルは際限なく細分化されていく。インフルエンサーが小さなブランドを立ち上げて個人に紐づく形で経済圏をつくったり、あるいは化粧品ブランドも小さなブランドを立ち上げる動きも見られる。
これは、小さくとも明確なペルソナに基づいて作られたプロダクトが求められていることを証明しているのではないだろうか。
(化粧品ブランドが細かいブランドを作ってSNSを軸に展開している話)
ミレニアル世代もF1層も、現代に置いてはあまりにも粒度の粗い「幻想」だ。現代においてはもはや、世代論という言葉さえ死語かもしれないというのに。
あなたがもし、「ミレニアル世代」のリアルを知りたくてこの記事を読み始めたならば、今すぐに「世代論に対する解像度のアップデート」が必要だろう。あなたがいつまでも「ミレニアル世代」の理解が出来ないのは、それがあまりにも新世代、だからではなく、バラバラなライフスタイルを寄せ集めてできあがった「想像上の生物」なのだから。
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