ニュースと体験から読み解くリテール未来像 #25

小売業が、今こそ本気で「BOPIS(店頭受取サービス)」に取り組むべき3つの理由

前回の記事:
買い占め対策。品薄の「マスク」をドラッグストアの優良顧客にだけ販売する方法
 

世界の大手小売業はコロナ禍でもBOPISで伸びている


 本コラムの結論は「小売業は本気でBOPIS(Buy Online Pick-up In Store)に取り組むべきである」です。BOPISは、ECで購入した商品を最寄りの店舗で受け取る買い物形態のことを指します。

 なぜ「取り組むべき」と判断するかと言えば、次の3つの理由が挙げられます。後ほど、詳しく解説したいと思います。
 
  1. COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の影響により、店舗での滞在時間が短い買い物体験が支持されるから
  2. 店に商品を取りに来てもらうことで、利益が増加するから
  3. 新しい売上をつくることが出来るから

 BOPISはクリック&コレクト(Click & Collect)と近い考え方です。ただし、クリック&コレクトはECで購入した商品を自宅以外の場所で受け取るショッピングスタイル全般を指すのに対して、BOPISは「店舗での受け取り」に限定しているという違いがあります。また、店舗に車で訪問して降りずにECで購入した商品を受け取ることができカーブサイドピックアップはBOPISの形態のひとつです。

 BOPISは欧米や中国の大手小売業で導入が進み、各社の成長の原動力となっています。コロナ禍で店舗での滞在時間を減らしたい顧客ニーズを受けて、大幅に拡大しています。

 例えば、BOPISに積極的に取り組んでいる米国の大手ホームセンターのホームデポの第1四半期決算は、既存店前年比7.5%増と好調です。
 
BOPIS受取用ロッカー(Home depot Seattle,2019筆者撮影)

 また、大手ディスカウントストアのターゲットはWebサイトのトップページ(リンク:https://www.target.com/)で、人に接触しない買い物方法を訴求し、2月のEC売上が前年比33%増から、4月は282%増と驚異的な伸びを見せています。そのEC売上の80%は、店舗在庫のBOPISまたは自宅配送です。



 BOPISについては、この連載でも何度も海外事例を紹介してきました。
 
 しかし、日本のFMCG(日用消費財)を扱う小売業において本気で取り組んでいる企業は、まだまだ少ないのが現状です。

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