CES 2025 現地レポート #01
世界最大級のテクノロジー見本市「CES 2025」の注目トピックは? 現地ラスベガスから超速レポート【電通 森 直樹】
2025年のテーマは「DIVE IN」
2025年のテックトレンドを占う世界最大規模のテクノロジーカンファレンス「CES」が今年も米国ラスベガスでスタートしました。
CESはフォーチュン500企業のうち323社が登録、4,000以上の企業が世界中から出展し、300を超えるセッションが行われます。毎年、約160カ国以上から参加する巨大なイベントです。CESは家電ショーとしてスタートしましたが、今日ではテクノロジーとイノベーションのイベントに変化を遂げており、スマート家電にはじまり、AI、ヘルスケア、ロボティクス、XR、サステナビリティ、そしてダイバーシティに至るまで、先端的な取り組みに触れることができます。ここで接することができるテクノロジーが産業やビジネスモデル、ライフスタイルを大きく変化させることは間違いなく、マーケターにとっても注目すべきイベントだと言えるでしょう。
さて、今年のテーマは「DIVE IN(飛び込む)」です! テーマにならってCESへダイブしつつ、現地で発信されるホットトピックをお届けします。
エネルギー、AI、サスティナビリティに注目
まずは今年のCESの方向性と注目テーマについて、主催団体のCTA(全米民生技術協会)アナリストによるCES Trend to Watchから速報でレポートします。CTA、イノベーション・トレンド担当シニア・ディレクターであるブライアン氏が、今年のCESの見どころについて説明を行いました。
CTAのメリッサ・ハリソン マーケティング・コミュニケーション担当副社長(右)とイノベーション・トレンド担当シニア・ディレクターであるブライアン・フライデー氏(左)
Z世代の重要性
Z世代(1997~2012年生まれ)は世界人口の3分の1を占め、消費者としての影響力を急速に拡大しています。ブライアン氏は、この世代が「真のデジタルネイティブ」であり、Gen Zの74%は「テクノロジーが自己表現の重要な要素である」と回答しているという調査データを紹介しました。Z世代はサステナビリティやリサイクル可能な製品への関心も高く、これが新しい製品設計やマーケティング戦略に影響を与えており、CESのテーマにも影響を与えています。
エネルギートランジションとサスティナビリティ
サステナビリティは一昨年から、CESの重要なテーマのひとつとなっています。ブライアン氏は、今年のCESでは「エネルギートランジション」が重要なテーマのひとつとして取り上げられていると指摘しました。化石燃料からゼロカーボンエネルギーへの移行が進む中、太陽光発電やグリーン水素といった再生可能エネルギーの増加、スマートグリッドによるエネルギーの効率化や安定性の向上などが、重要なテーマだといいます。
この中で、今回のCESではパナソニックが久々に基調講演に登壇することも注目されると言及しました。
AIの進化が新たな領域にも及ぶ
AIは今年も大きなテーマです。生成AIの進展により消費者体験がより個人化され、より効率化されている中、AIエージェントはシームレスなユーザー体験を実現しています。さらにAIとデジタルツイン技術の進化は、気象予測やサプライチェーンの最適化といった、新たな領域へと及んでいると強調されました。
モビリティの未来
自動運転やEVの技術進化も外せないテーマとなります。電動化(Electrification)、接続性(Connectivity)、自律性(Autonomy)、そして工業用車両(Industrial Vehicles)を中心に、モビリティの未来を示す展示とプレゼンテーションが注目されると話しました。
さて、今年のCESはプレスカンファレンスにトヨタ自動車が復活し、さらにパナソニックが初日の基調講演を担います。テック企業・非テック企業を問わず、日本企業の出展も増えている様子です。
アジェンダノートでは日本企業のCESでの展示や発信をはじめ、欧米や韓国の企業がどのようなテクノロジーと未来展望、イノベーションへの取り組みを行っているのかについて、開幕に先立つプレスカンファレンスや基調講演、各種セッションと展示取材から、皆様に発信していきたいと思います。
森 直樹 氏
電通 ビジネストランスフォーメーション・クリエーティブセンター エクスペリエンス・デザイン部長/クリエーティブディレクター
光学機器のマーケティング、市場調査会社、ネット系ベンチャーなど経て2009年電通入社。米デザインコンサルティングファームであるfrog社との協業及び国内企業への事業展開、デジタル&テクノロジーによる事業およびイノベーション支援を手がける。2023年まで公益社団法人 日本アドバタイザーズ協会 デジタルマーケティング研究機構の幹事(モバイル委員長)を務める。著書に「モバイルシフト」(アスキー・メディアワークス、共著)など。ADFEST(INTERACTIVE Silver他)、Spikes Asia(PR グランプリ)、グッドデザイン賞など受賞。ad:tech Tokyo公式スピーカー他、講演多数。CESでは、ライフワークとして各種メディアに10年以上の寄稿経験がある。
電通 ビジネストランスフォーメーション・クリエーティブセンター エクスペリエンス・デザイン部長/クリエーティブディレクター
光学機器のマーケティング、市場調査会社、ネット系ベンチャーなど経て2009年電通入社。米デザインコンサルティングファームであるfrog社との協業及び国内企業への事業展開、デジタル&テクノロジーによる事業およびイノベーション支援を手がける。2023年まで公益社団法人 日本アドバタイザーズ協会 デジタルマーケティング研究機構の幹事(モバイル委員長)を務める。著書に「モバイルシフト」(アスキー・メディアワークス、共著)など。ADFEST(INTERACTIVE Silver他)、Spikes Asia(PR グランプリ)、グッドデザイン賞など受賞。ad:tech Tokyo公式スピーカー他、講演多数。CESでは、ライフワークとして各種メディアに10年以上の寄稿経験がある。