CES 2025 現地レポート #04

世界最大級テクノロジー見本市「CES」でNVIDIA、パナソニック、デルタ航空が見せたAIビジョンと熱狂【電通 森直樹】

前回の記事:
米国テクノロジー見本市「CES」でENEOSやクボタが存在感、ホンダのEV初公開も【電通 森直樹】
 

大注目の基調講演をレポート

 
 「CES 2025」現地速報も第4段。今回はAIで圧倒的な影響力を持つNVIDIA、Sphereという新しいステージを活用したデルタ航空、そしてパナソニックの基調講演の様子をレポートします。

 開幕前日のプレ基調講演はNVIDIAのジェンスン・ファンCEOが登場し、ここ数年で最も熱気があり圧倒される基調講演となりました。また、2023年にオープンしたラスベガスの新名所で、外観も内部もLEDで全面を覆ったドーム型シアター「Sphere」を使ったデルタ航空の基調講演もまた、イマーシブな映像演出を最大限に盛り込んだ魅力的なものになりました。そして最も注目度が高い開幕初日の基調講演を担ったのは、パナソニックグループの楠見雄規CEO。久々の基調講演登壇となった同社はグローバルに向けて何を発信したのでしょうか。今回のレポートは少し長めですが、最後までお楽しみください。
 

NVIDIAはAIで世界を変えるか?会場を熱狂させたプレゼン


 ジェンスン・ファンCEOによる約1時間半にわたるプレゼンテーションを見た人は、その勢いに圧倒され、夢中になったのではないでしょうか。長年、CESを取材し続けている筆者の肌感覚において、コロナ禍前を含めて、この10年の基調講演の中でもトップレベルで白熱した基調講演だったと思います。

 NVIDIAは、AIとそれを支える画像処理装置のGPU、ロボティクス、自動運転技術など、多岐にわたる最新技術の進化と未来像を語りました。1993年の設立から今に至るまでの歴史を振り返るところから始まり、ゲーム機メーカーのセガ向けにチップを提供していた時代から、現在のGPU、そして認識系AIや生成系AIに至るまでの過程を、GPUが表現する映像精度が高度に移り変わる様子とともに説明しました。
  
講演が始まる前から異様な熱気に包まれていました。


GPUの新シリーズ「RTX Blackwell」を発表するNVIDIA の Jensen Huang CEO

 ファンCEOは最新のGPU「RTX Blackwellファミリー」を発表し、AIによって未計算のピクセルを予測することで計算効率を飛躍的に向上させ、レンダリング(画像・映像などの表示)性能を劇的にアップさせたと語りました。この新しいアーキテクチャは、生成AIとコンピュータグラフィックスを融合することで、従来のGPUの限界を超えるものだといいます。

 「Physical AI」という概念や、そのための「Cosmos」という新しい〝World Foundation Model〟も紹介しました。Cosmosは物理法則を学習したAIモデルによって、ロボットや自動運転車の訓練に必要なデータをバーチャルに生成し、トレーニングするそうです。これによって、実世界のデータ収集に比べてコストや時間を圧倒的に削減することができ、今後、自動運転やヒューマンロボットの倉庫、工場などへの実装実現に貢献するとのことでした。

 




 


生活・モビリティ・産業などあらゆる場面で「Physical AI」が変革をもたらす可能性を示唆しました。
  

  
AIを活用したバーチャル空間で大量のパターンをシミュレーションすることで、自動運転や、倉庫・工場の自動化、ヒューマンロボットの実装を実現させるといいます。

  
モビリティ分野では、次世代の自動運転創出のため、トヨタなどとのパートナーシップも発表されました。


 さらにジェネラルロボティクス(汎用ロボット)の可能性に触れ、「Isaac」という新たなプラットフォームも発表しました。これは、ロボット開発者向けに基盤モデルやデータ基盤を提供し、合成データを用いた効率的なバーチャルでのトレーニングを実現するといいます。このプレゼンではヒューマンロボットが会場に登場し、ロボット時代の幕開けがすぐそこまで迫っていることをオーディエンスに印象付けました。

  
大量のヒューマンロボットが登場。まさに圧巻でした。

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