CES 2025 現地レポート #02

日本発プロダクトがCESイベントで注目の的に。キリン減塩スプーンやAGC次世代ガラスなど【電通 森 直樹】

前回の記事:
世界最大級のテクノロジー見本市「CES 2025」の注目トピックは? 現地ラスベガスから超速レポート【電通 森 直樹】
 

新テクノロジーにキャッチアップ「Unveiled」


 「CES 2025」速報第2弾は、現地時間1月5日のMedia Dayに行われた「Unveiled」に出展していた日本企業を中心にレポートします。Unveiledとは、CES開幕前にメディア向けに特別開催されるイベントで、その年の注目プロダクトをいち早く確認できる場です。米国メディアはもちろんのこと、日本メディアも注視するイベントになっています。今年もスタートアップから大企業に至るまで、新プロダクト・新テクノロジーがお披露目されていました。そして、日本のFMCG企業も奮闘していた今回のUnveiledの様子をお届けします。

  
Unveiledの開場直後。多くのメディアが押し寄せています。
    
Unveiledの会場の様子。CESの本番の会場とは異なり、テーブルとバナーパネルによるシンプルな展示。しかしながらCES本番同様の熱気に満ちています。
 

米メディアが熱視線送るキリン「エレキソルト」


 さて、今年のUnveiledでひときわメディアの関心を集めていたのは、キリンホールディングスが新規事業として取り組む「エレキソルト スプーン」でした。微弱な電気によって食材の塩味を強く感じることができ、ストレスなく減塩に取り組める画期的なスプーンとのことで、CESイノベーションアワードも受賞しています。世界的なテクノロジーメディアのTechCrunchをはじめ、米国メディアの多くがこのスプーンを使ってスープを試食している様子が見られました。キリンホールディングスが今後、テクノロジーを使ってどんな食へのアプローチを展開するか、気になる出展となりました。





 

コーセーと東京エレクトロンデバイスの新コスメ体験


 化粧品のコーセーと、半導体製造装置の東京エレクトロンのグループ会社である東京エレクトロンデバイスが共同で取り組む新しいコスメ体験「Mixed Reality Makeup 0 min try-on studio」も注目を浴びていました。高速プロジェクションマッピングによって、顔の動きに自然に追従するメイク体験を一瞬で実現するMR(Mixed Reality:複合現実)。誰でも手軽に、高精度に〝自分の顔に直接〟メイクシミュレーションが出来る画期的な技術で、こちらもXR部門でイノベーションアワードを受賞しています。



 

AGCは次世代デバイスで活用する新ガラスを展示


 イノベーションアワードを受賞し、Unveiledに出展していた日本企業の中にはB2B企業もいました。ガラス大手のAGCは次世代のAR(Augmented Reality:拡張現実)/MRグラスに必要なガラス基板を開発。今後、普及が見込まれるAR/MRデバイスに不可欠なガラス製品になりそうです。AGCの持つガラス領域の要素技術が、テック領域の新興技術やプロダクトを支えていくことが期待されます。



 

B2BベンチャーからMIXIのロボットまで


 Unveiledでは他にも、日本発の注目商品が展示されていました。ここからは筆者が気になった企業の展示を写真で紹介します。


製造業の調達を最適化するプラットフォームを提供しているCADDi。米国製造業に変革を巻き起こすことができるか? 真価が問われます。


MIXIは会話AIロボット「Romi」を出展しました。今年のCESではロボットや生成AIによる対話型デバイスの領域が大きな関心を集めています。Romiの前にも立ち止まる人が多くいました。
 
CESの中でも人気のEureka Park(スタートアップ専用エリア)に、日本のスタートアップ企業の進出を支援するJAPAN TECHが出展していました。JAPAN TECHは日本企業のCES進出をサポートし、グローバル市場での地位構築を促すことを目的とした大阪商工会議所などによるプロジェクトで、Eureka Parkでは常連となっています。

 Unveiledからの速報はここまで。CESの前座であるUnveiledは、グローバルに向けて自社事業やプロダクト、要素技術を発信する有用な機会となっています。マーケターの皆さんも来年のUnveiledを狙ってみてはいかがでしょうか?
 
森 直樹 氏
電通 ビジネストランスフォーメーション・クリエーティブセンター エクスペリエンス・デザイン部長/クリエーティブディレクター

 光学機器のマーケティング、市場調査会社、ネット系ベンチャーなど経て2009年電通入社。米デザインコンサルティングファームであるfrog社との協業及び国内企業への事業展開、デジタル&テクノロジーによる事業およびイノベーション支援を手がける。2023年まで公益社団法人 日本アドバタイザーズ協会 デジタルマーケティング研究機構の幹事(モバイル委員長)を務める。著書に「モバイルシフト」(アスキー・メディアワークス、共著)など。ADFEST(INTERACTIVE Silver他)、Spikes Asia(PR グランプリ)、グッドデザイン賞など受賞。ad:tech Tokyo公式スピーカー他、講演多数。CESでは、ライフワークとして各種メディアに10年以上の寄稿経験がある。
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