【読書の秋】トップマーケターの価値観を変えた一冊 #05

【読書の秋】シェラトン都ホテル東京 能川一太氏、吉野家 田中安人氏の「トップマーケターの価値観を変えた一冊」⑤

前回の記事:
【読書の秋】花王 廣澤祐氏、FinT 大槻祐依氏の「トップマーケターの価値観を変えた一冊」④
 「読書の秋」は、マーケターとして成長する絶好の機会です。何を読むかを選ぶときに、トップマーケターのオススメ書籍を参考にすることで、新しい視点とアイデアに触れることができます。今回のテーマは「トップマーケターの価値観を変えた一冊」です。マーケター、ビジネスパーソンとして、自分に新たな価値観や視点を与えてくれた書籍を1冊紹介してもらいました。この秋、ビジネスの成功につなげる選書をしましょう。
 
【読書の秋】トップマーケターの価値観を変えた一冊
 

シェラトン都ホテル東京 取締役 総支配人 能川一太氏


自分の価値観を変えた一冊:真実の瞬間 ヤン カールソン (著)、ダイヤモンド社
 

 スカンジナビア航空の従業員が旅客に接する時間は平均15秒です。企業の成功を左右するのはその瞬間であり、顧客に「最良の選択だった」と納得させなければなりません。

 この「真実の瞬間」に、会社を代表する最前線の従業員に対して、アイデア、決定、対策を実施する責任を委ねます。それは問題が起こるたびに最前線の従業員が上層部の意向を確かめていては、その貴重な15秒が無駄になってしまい、顧客を増やすせっかくの機会を失うことになるからです。

 私は、建築というハード寄りの仕事をしたあと、旅行の楽しさを伝える観光プロモーションの仕事をしました。そして10年ほど前にテーマパークで働いていたとき、ホスピタリティについて学ぶためにこの書籍を読み、実際に現場での体験を経て実感したことがあります。

 いくらハードがよくても、あるいは旅行に行きたくなるように伝えても、お客さまはその場に来て、スタッフから受けるサービスを体験してはじめて、我々が提供する価値を評価するのです。この書籍は私の実体験と同じく、新たな価値観を与えてくれました。30年以上前に書かれた本ですが、本質は今も変わらないと思います。
 

吉野家 CMO 田中安人氏


自分の価値観を変えた一冊:夜と霧 V.E.フランクル (著)、みすず書房
 

 ある大学教授から「人の精神の気高さと自由。人はどのような環境下であれ、いかに振る舞うかを選択することができる」として紹介していただいたのが、この書籍との出会いです。

 精神科医ヴィクトール・フランクルが強制収容所であるアウシュヴィッツを生き延びた記録で、その実体験を心理学の側面から体系的に語っています。物語は「収容時」と「収容中の生活」、「解放されたとき」の精神状態の大きく3つに分かれています。そして極限状態においてもなぜ生きられたのか、その意味についても語っています。

 この書籍から私は「人間はどのような環境下であっても明確な目的を持つことによって未来が切り拓ける」と学びました。

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