【読書の秋】トップマーケターの価値観を変えた一冊 #10

【読書の秋】ベストインクラスプロデューサーズ 菅恭一氏、一般社団法人渋谷未来デザイン 長田新子氏の「トップマーケターの価値観を変えた一冊」⑩

前回の記事:
【読書の秋】シンクロ 西井敏恭氏、青山商事 藤原尚也氏の「トップマーケターの価値観を変えた一冊」⑨
「読書の秋」は、マーケターとして成長する絶好の機会です。何を読むかを選ぶときに、トップマーケターのオススメ書籍を参考にすることで、新しい視点とアイデアに触れることができます。今回のテーマは「トップマーケターの価値観を変えた一冊」です。マーケター、ビジネスパーソンとして、自分に新たな価値観や視点を与えてくれた書籍を1冊紹介してもらいました。この秋、ビジネスの成功につなげる選書をしましょう。
 
【読書の秋】トップマーケターの価値観を変えた一冊  
 

ベストインクラスプロデューサーズ 代表取締役社長 菅恭一氏


自分の価値観を変えた一冊:イノベーションのジレンマ  クレイトン・クリステンセン (著)、翔泳社
 

 私が初めてこの書籍に出会ったのは、2007年です。トラディショナルなエージェンシーのデジタル変革をリードする立場で試行錯誤していた頃に、いくつかの戦略オプションを提示してくれました。そして、独立して経営者になった現在でも普遍的な概念として意思決定を支えてくれています。

 本書で、変革に求められる3つの要件は「資源」「プロセス」「価値基準」であり、仮に人の能力や技術、資金などの「資源」があったとしても、その能力が発揮される「プロセス」や意思決定の優先順位に影響する「価値基準」が整わなければ、変革は達成できないと示唆しています。また、この3つの要件を整える方法として、①Buy(買収)、②Build(内部で生み出す)、③Spin out(分離する)という組織づくりの選択肢も提示しています。

 前職時代の私は②Buildを選択し、エージェンシーのデジタル変革において一定の成果を得ることができました。一方で、現在経営しているBICP(ベストインクラスプロデューサーズ)では③Spin outを選択しています。2018年にデータ活用戦略に特化した会社(ビーアイシーピー・データ)、今年の7月には地域の問題解決に取り組む会社(ビーアイシーピー・ハナレ)をそれぞれ新規事業会社として設立しました。BICPは小さな会社ですが、それでも出来上がったプロセスや価値基準があり、これに引っ張られることにより新たな事業の可能性に蓋がされてしまうことを避けたいからです。現在は、Spin out型の組織開発の面白さと、自分では想像できない非連続な成長が生まれる期待感でワクワクしています。
 

一般社団法人渋谷未来デザイン理事・事務局長 / NEW KIDS 代表 長田新子氏


自分の価値観を変えた一冊:「ジェネレーティブAIの衝撃」   馬渕邦美(著)、日経BP
 

 友人であり、Metaverse Japanの代表を共同で務める馬渕邦美氏が執筆した書籍です。生成AIについて学びたいと思っている人にオススメの一冊です。

 学術的な部分もかなりあるので、難しいと感じる人もいると思いますが、開発者、研究者、導入企業、クリエイターなどトップランナーへのさまざまな視点のインタビューによって、自分たちの生活や働き方への影響がイメージできました。

 私は書籍の出版パーティーに参加させてもらいました。本書に掲載されている皆さんと直接会話する中で聞かれたのは、「Generative AIは野球で言うと2回表ぐらいで、日本も世界と同じ土俵あるいはスタート地点にいる。ただし、これからが勝負で、大きく点差をつけられる可能性もある」という言葉です。

 日本が世界に対してどうアプローチできるのかにも興味がありますが、個人的には日本人の持つビジネスモデルや自身の能力を拡張できるクリエイティブでユニークな点に可能性を感じています。マーケターとしても、この分野を脅威と捉えるのではなく、どうすれば自分の血や肉にできるのかを考えてみるとおもしろいかもしれません。

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