【読書の秋】トップマーケターの価値観を変えた一冊 #09

【読書の秋】シンクロ 西井敏恭氏、青山商事 藤原尚也氏の「トップマーケターの価値観を変えた一冊」⑨

前回の記事:
【読書の秋】クー・マーケティング・カンパニー 音部大輔氏、ユナイテッドアローズ 藤原義昭氏の「トップマーケターの価値観を変えた一冊」⑧
「読書の秋」は、マーケターとして成長する絶好の機会です。何を読むかを選ぶときに、トップマーケターのオススメ書籍を参考にすることで、新しい視点とアイデアに触れることができます。今回のテーマは「トップマーケターの価値観を変えた一冊」です。マーケター、ビジネスパーソンとして、自分に新たな価値観や視点を与えてくれた書籍を1冊紹介してもらいました。この秋、ビジネスの成功につなげる選書をしましょう。
 
【読書の秋】トップマーケターの価値観を変えた一冊
 

シンクロ 代表取締役社長 西井敏恭氏


自分の価値観を変えた一冊:深夜特急  沢木耕太郎(著)、新潮社
 

 大学時代に、中学生時代からの親友が「面白いから読んでみては?」とオススメしてくれたのが出会いのきっかけでした。

 1970年代に著者の沢木耕太郎氏が、インドから英国まで乗合バスを乗り継いで旅した話です。私が読んだ1990年代はまだスマホもなく、インターネットもほとんどない時代で、地方でずっと育ってきた私は海外どころか東京ですら未知の世界でした。

「あまりお金がなくてもバックパックひとつで、インドから英国まで陸路で行けるんだ!」とワクワクして、私も次の夏休みにインド旅行に行きました。初めてインドの空港に降りたときの緊張感は今でも覚えています。10代の私は、まだまだ視野が狭く「楽しいことがない」と思っていたときに「楽しいことは自分が動くから生まれる」と教えてくれた旅の一歩目をつくってくれた書籍です。

 その後も旅にハマり続け、今では世界150カ国くらいを訪問しました。言葉が堪能ではなくても、お金がなくても、準備が完璧にできていなくても、むしろ「準備していないほうが物事は楽しい」という価値観を持てるようになりました。

 また、世界各地でさまざまな人と出会った経験は、顧客の理解が重要なマーケティングの仕事にもすごく生きていると確信しています。今の私は本書なしでは語れないくらい、何度読んでも心を震わされるバイブルです。
 

青山商事 マーケティング部 部長 藤原尚也氏


自分の価値観を変えた一冊:SHOE DOG(シュードッグ) フィル・ナイト(著)、東洋経済新報社
 

 私が本書と出会った当時は、経営陣からテレビCMなどのマスメディアに依存した販促から、デジタルをどう融合させて新しい「顧客体験」や「顧客価値」を創造し、事業としてどのようにV字回復させるかという課題を与えられていた時期でした。

 本書を読むときは一度頭の中をリセットして、世の中に「ナイキ」がなかった時代に自分をタイムスリップさせます。当時の大手ブランド企業とどう戦い、新しいブランドを確立し、今までになかった商品を作り、事業を成長させていくかを考えることで、とてもワクワクしながらチャレンジ精神を向上させることができます。

 誰も考えてもみないこと、もしくは誰もが笑って聞き流すようなことも、誰にでも実現可能だと再認識できるため、起業する人や新規事業に取り組む人だけでなく、今とんでもない壁に突き当たっている人にもぜひ読んで欲しい1冊です。

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